益子のイベントを企画してくれた稲芽さん。わざわざの長きお客様で友人でもある。
先週末は栃木県の益子町のトークイベントに登壇してきた。今回はちょっぴりタイトなスケジュールで益子を十分に堪能することはできず、折角、焼き物の町に来たのにとても残念。トークイベントが終わるとすぐに帰路に着いたのだった。次はちゃんと見て回ることを誓い、車を走らせた中で、ひたすら考えていたことを今日は書いてみようと思う。
ものを売るためのデザイン
トークイベントの対談相手の蓑田さん。益子で編集者として活躍されている。もっと話したかった。
自費出版して現在7000部を完売した『わざわざの働きかた』。この本を手売りしながら、トークイベントを行なう行商ツアーも終盤に近い。残すは、熊本、長野、岡山、京都、北海道。すでに10ヶ所が終了し、この連載にも綴ってきたように沢山の人と出会い語り合った。
トークイベントが終わると、必ず質疑応答の時間があって様々な質問をいただく。私はこの時間が一番のメインだと思っている。予想もしない質問で自分の頭の中のまだ見ぬ引出しが開放され、脳を活性化させてくれることがあるので、とても楽しみにしている。今回の益子のイベントで事前にいただいた質問に答えるコーナーがあって、最近の思考とマッチするものがあったので、紹介したいと思う。
トーク会場のヒジノワでランチを食べた。おいしくて感激!
「地方でプロダクトデザイナーとして生きるにはどうしたらよいか?」
東京でプロダクトデザイナーをしている方からの質問で、栃木にUターンしてプロダクトデザインの仕事をやりたいということだったのだが、私はこの質問に対してそっけない答えをした。「自分で考えたらいいですね」と。まぁ、そりゃあそうなのだが、一撃を食らわした後に丁寧に補填説明を行った。
話は逸れるが、最近「デザイン」について考えてばかりいる。『わざわざの働きかた』は企画、執筆、写真、編集、校正、デザイン、レイアウト、販売まで一貫して自社で行なっている。自社と言えば聞こえがいいが、殆ど自分で作った。1ヶ月で全ての製作(しかもパンを焼きながら!)を行なうという無謀なことをして、出すにあたっては殆ど後悔しかなかった。
一つも納得もしていないし、それが7000部売れていること、さらに手売りしているのだから恥ずかしいとしか言いようがない。その中でも一番、後悔している点が「デザイン」である。次に作るときはこうしたい、ああしたいという思いがページをめくる度に溢れてくる。
さて「デザイン」である。デザインとは何か? 私はパンと日用品の店という業態から商売をスタートさせている。しかし、おいしいパンと素敵な日用品を並べて売ればいいと単純に思うだけでは物は売れない。まず店を知ってもらうために、店舗案内のショップカードを作り、近隣に配る。WEBサイトを公開し、ブログを毎日書く。
そこにはありとあらゆるデザインが介入する。ショップカード、WEBサイト、写真、店舗のレイアウト、看板、レジ袋…、店主が身につける服さえも店の空気を作る。行動全てにデザインが介入してくると言って過言ではない。
もう一つ、絶対的に必要なものがある。それは「建築」。お店をやるとなれば、建築物の中に商品を置いて並べることになる。嫌が応にも工夫しなければならないのが「デザイン」と「建築」なのである。
本来のデザインとは何か?
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