「夫婦のことは夫婦にしかわからない」
「『良い夫』やめました」と宣言したオリエンタルラジオ・中田敦彦に向かう批判について、「夫婦のことは夫婦にしかわからないんだし、他人がとやかく言うことではない」と擁護するファンの声を拾う。結婚したタレントに結婚生活を語らせ、子供を育てるタレントに育児生活を語らせるのはもはや芸能活動の一環になっているし、いわゆるママタレントの方々が渋滞しているように見えるのは、本人の希望というよりも、そのタレントを動かそうとする人たちが、勝手に場所取りをしたり、行列に並んだりしている結果なのかもしれない。逆に、プライベートについて語らないと決めている人が、「私は語らない」という強い意思になってしまっているのがしんどそうだ。別に語らなくてもいいことなのに。
「夫婦のことは夫婦にしかわからないんだし、他人がとやかく言うことではない」。そう思う。それを芸能界に染み渡らせるならば、川崎麻世とカイヤにもその定義を機能させなければならないが、そこですぐに返ってくるのは「いや、あれは、他人にとやかく言われたい人たちでしょう」との意見で、確かにそれもそうなのだろう。だが、組織で働いてみると、結婚や育児について「とやかく言われたい」と「とやかく言われたくない」を自分で操縦するのって、とても難しいことがわかる。自分が結婚した時にはまだサラリーマンだったが、結婚に踏み切った理由とは何だったのかとか、子供は何人くらい欲しいのかとか、踏み込んだ質問をしてくる人があちこちから登場し、その度に「冷たい笑顔×無言」で対応すれば、「深掘りしてくれって合図」と曲解した人がアクセルをふかし始めるのが本当に厄介だった。こちらからあっちのブレーキを踏む術が見つからないので、急いで逃げるしかなかった。
帰る時間くらい連絡したら
自分のことを「老舗メディアにいる最後の革命家」と称し、「我が強く、自己主張が激しい。オレ様気質」(『天才の証明』)と自己分析する中田が、状況を見計らいつつ、いわゆるイクメンブームをひっくり返すような言動をしてくるのはいかにもな選択だが、「夫婦のことは夫婦にしかわからない」し、「他人がとやかく言うことではない」ので、ひとまず黙ろうとは思う。
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