第3回】「クリエイターだから政治には関心ない」とか言ってて大丈夫ですか?

社会にコミットしたい! でも、まだなにもできていない。なんのコネクションも実績もなにもない人でも、社会に積極的に携わることはできるのか? 数々の社会問題に取り組んできたジャーナリストで、メディア・アクティビストの津田大介が、自分の経験や実績をもとに「社会参加」について考えます。あなたも、これを読んで社会変革してみませんか?

カネや知名度がなくても政治は動かせるのか?

今回は、「著作権の保護期間延長反対」の意志を固めた僕と弁護士の福井健策さんが、「具体的になにをしていったのか」を説明していきたいと思います。

僕らが「とにかくアクションを取らねばマズイ!」と本格的に危機感を持ち、具体的なアクションを取り始めたのは、2006年8月のことでした。福井さんと僕、そして『クリエイターのためのアートマネジメント―常識と法律』(八坂書房)という著書を後に出版する作田知樹さんや、クリエイティブ・コモンズ周りのスタッフで事務局を作り、週1回くらいのミーティングでそれぞれの役割分担を行い、具体的な作業を進めることになりました。

通常、法律の改正案が出されてから、実際にその法律が改正され、施行されるまでには意外と時間があるんです。まずは利害関係のある人たちを集めてヒアリングを兼ねた審議会を開く。そこから、有識者で固めた委員会を作って1~2年議論して、改正するかどうかを判断するわけです。いろいろ手順があるわけですね。

その時点で、著作権の保護期間の延長についての法律改正が決定するまでの時間は、速ければ残り7か月という状況でした。その間になんとかして07年4月から開催される委員会のメンバーに潜り込み、議論のなかで反対論の趨勢が高まるようにしようという魂胆だったわけです。

委員会の人選が決まるのは、委員会開催のだいたい半年前。遅くても07年の1月には決まってしまう。ならば、年末までになんとか大きなアクションを取って、「著作権保護期間の延長反対」をなんとか世間に周知させなければならない。世間というところがポイントで、お役所は意外とそういうところを意識しています。だから、06年の秋から冬にかけていかに騒げるか—そこが勝負どころだったんです。

少数派である「反対派」の意見を、一気に世に知らしめるにはどうしたらよいか。僕らが考えたのは、大きなシンポジウムを開くことでした。当時はまだソーシャルメディア勃興期で、ツイッターもなければUstreamもない。ニコニコ動画などもない時代だったので、世論を喚起するにはやはりマスメディアの力を借りるしかなかった。きちんとした問題提起型のシンポジウムを開催して、僕らの持論を展開し、マスコミに大きく取り上げてもらおうと思ったわけです。

「世論を動かすには、まずメディアを動かす」。これが政治の基本です

ただし、委員会のメンバーが決まってしまう年末までは、あと数か月しかありません。でも、名前もそこまで知られてなくて、著作権問題の当事者となるクリエイターでもない僕らが騒いだところで、メディアからの反応が得られるわけがない。

そこで浮かんだのが、最初の発起人として、誰もが取材に来たくなるようなビックネームの文化人や知識人、クリエイターを集めようというアイデアでした。

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Commitment2.0—そろそろコミットしてもいいんじゃないの?

津田大介

普通のひとが普通に、身近で切実な社会問題を変えていくにはどうしたらいいのか? ジャーナリストの津田大介さんが、自身のこれまでの経験や考え方、具体的な手法などのエッセンスをここで公開しながら論じます。眉間にシワをよせない、楽しく明るい社...もっと読む

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