読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第20回 人間が書けているとはどういうことか?(3)

いくら謎解きの面白さがメインであったとしても、推理クイズではなく小説なのだから、被害者や犯人の行動原理がおよそ理解不能で場当たり的なものであったら、推理「小説」であるミステリとしては興醒めになってしまう。
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◆人間が書けているとはどういうことか?
 昔から、よく聞かれる批判の一つに、「人間が書けていない」というものがある。しかし、筆者は編集者を二十数年やってきているが、どういうことをもって「人間が書けている」というのか、いまだによく分からない。というのも、この批判、言う人によって意味合いがまちまちだからだ。
 読み方、感じ方は人によって違うから、そこの違いはあるけれども、「人間がコマのようだ」とか、「こんなヤツ(男、女)いない」とか、「悪人が出てこないからリアリティがない」とか、実に様々である。
 この「人間がコマのようだ」に関しては、前述したように、言動に一貫性を感じられない登場人物がいることに起因してるのではないか。いくら謎解きの面白さがメインであったとしても、推理クイズではなく小説なのだから、被害者や犯人の行動原理がおよそ理解不能で場当たり的なものであったら、推理「小説」であるミステリとしては興醒めになってしまう。

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新潮社
2018-09-21

この連載について

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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

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