伝統産業と、おいしいもののまち〜わざわざ平田の出張日記【福井編】

独自の経営スタイルや働き方で注目を集める「パンと日用品の店 わざわざ」の平田はる香さん。先週末は、RENEWというイベントに参加するため、福井県へ。ものづくりの一大産地、そしておいしいものが豊富にある福井で平田さんが感じたことを綴ります。


ろくろ舎(挽物専門)の工房へ見学に行った

先週末は3日間、福井県鯖江市に出張した。RENEWというイベントへの出店とトークイベントへの登壇が目的で、福井県はほぼ初めてで前知識のないまま行ったのだった。私は長年メガネを愛用していて、この10年ほどは鯖江の金子眼鏡店のメガネをしていたこともあって(今は違う)、鯖江=メガネの産地という認識はあったのだが、それ以外には曹洞宗の総本山永平寺があるというくらいしか福井に対する前知識がなかった。

そもそもRENEWというイベントも誘われたから行くという程度の認識で、全く何のイベントかも理解していなかったのも酷かった。あんなに面白いイベントだとは知らなかった。本当に心からごめんなさい。


うなぎの寝床の白水代表のこと。

長長い付き合いになってきたうなぎの寝床のしらくん。

さて、福岡県八女市に「うなぎの寝床」という会社がある。「うなぎの寝床」は地域文化商社と名乗っていて、久留米絣で作ったもんぺメーカーの事業を主軸としている。様々な伝統工芸品や地域で作られた量産品を文化として捉えながら、その歴史や成り立ちを動画や写真、テキストでアーカイブして消費者に紹介するという面白い取り組みを行なっている。その会社の白水代表取締役(しらくん)との付き合いはもう6年にもなる。

私はインターネットで気になった人がいると「気になる」というフォルダに収集する癖があり、その中でもたいそう気になる人がいた。それがまだ当時24歳ほどのしらくんであった。「ちくご元気計画」という組織に所属して、その地域の第一次産業をバックアップして売れるように仕掛けていく仕事を若い人がやっているのが面白くて、仕掛けているイベントも楽しくて、気になって毎日ブログを見にいった。

そんなしらくんが独立して「うなぎの寝床」という店を始めるという話を読んだ時に、すぐにメールを書いて一緒にイベントをやろうと誘ったのだった。「ものづくり交換留学」という、長野と福岡で作られた商品をそっくりそのまま、お互いの店に移動して販売するという取り組みだ。お互い今ほどの忙しさはなく、1週間ずつお互いの地域に滞在し、たくさん話をした。

それから6年。しらくんは年商2億円規模の企業に「うなぎの寝床」を押し上げ、「わざわざ」も同等の規模の企業になった。RENEWにはしらくんもトークイベントの登壇者として呼ばれていて、横並びでフライヤーに紹介されているのを見て二人で感慨深くなった。

しらくんと私は全く性格が違う。考え方も正反対で、意見が擦り合うことはほぼないのだけど、別方向からの視点で同じ終着点に辿り着くことがよくある。数学の問題で、解法は違うけれど、答えが一緒になるような感じだ。話をしていてヒントをもらうことも多い。今回のRENEWの最終日にはしらくんの案内で、様々な工房や店を訪ねに行った。多分この時間がなかったら、私はRENEWの全体像がわからないまま、福井を知らずに帰ることになったと思う。しらくんにはいつもながら感謝している。


RENEWとはなんぞや。

RENEWはコンセプトの素晴らしいイベントだった。

「RENEW(リニュー)」は普段は出入りできない工房を特別に開放し、ものづくりの現場を見学・体験できる、産業観光イベントです。4回目の開催となる「RENEW2018」ではエリアを拡大し、福井県鯖江市、越前市、越前町全域が舞台となります。漆器・和紙・打刃物・箪笥・焼物・眼鏡・繊維の7産地から、100社を超える工房・企業が参加する一大イベントです。

RENEW WEBサイトより抜粋)

そう、福井県はものづくり一大産地だったのだ。本当に酷い話なのだが、私は全く知らなかった。メガネの生産シェアが95%だというのにも驚いたが、それ以外にも漆器・和紙・刃物など沢山のものづくり文化が継承されていて、工房や企業が数多く残っている。その産業の工房や工場が一挙に公開されるのがRENEWというイベントだった。メイン会場だけでなく小さな工房へも数多くの人が訪れており、普段は絡むことのない作り手と消費者が、製造工程の話を直接見聞きして、お互いの理解を深めるシーンを何度も目撃した。

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わざわざ平田の思索日記

平田はる香

長野県東御市にある「パンと日用品の店 わざわざ」。山の上の長閑なこの場所に、平田はる香さんは2009年にひとりでお店を開きました。平田さんがnoteで公開した記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が大いに反響を呼び、独自の経営スタイル...もっと読む

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コメント

sanukimichiru renew というイベント 面白そうだな とくに眼鏡人としては 工場を 覗けるのかな 2年弱前 replyretweetfavorite

old_under86912 福井は社長が多い。その理由は色々なものづくり産業が残っているからかも。へしこと厚揚げを当たり前のように食べていた日々が懐かしい。 https://t.co/10nPZzDxcB 2年弱前 replyretweetfavorite

shinguuuuu 「福井はおいしい」は究極にシンプルで魅力的なワードかも。 栃木は行けないけれど栃木編も楽しみだ。 https://t.co/3Vx7H6qGDm 2年弱前 replyretweetfavorite