●あらゆる問題はパターンの組み合わせで解ける?
二次試験の小論文に関しては、独自のパターン戦略を編み出しました。文系の小論文においては、出題される内容は「歴史」「文化」「言語」「哲学」など、おおむねテーマが決まっています。テーマ全体の数は、多く見積もっても7〜8つ程度です。そして、それぞれのテーマごとに問われる問いのパターンもおおむね決まっており、せいぜい3〜4つ程度。
たとえば「文化」というテーマであれば、「あらゆる文化に共通して当てはまる価値観の尺度は存在するか否か」といった、文化普遍主義と文化相対主義、いずれかの立場に立って論じさせる問いが多い傾向にあります。
つまり大学受験レベルの小論文であれば、実は問い全体のバリエーションは、多く見積もっても合計20〜30程度しかない。だとすれば、各問いのバリエーションに合わせた「模範解答論文」を事前に作成し、予め頭にインプットしておけばいい。そうすれば、本番は出題されたテーマと問いを読み取った上で、答案用紙に模範解答を書き写す作業をすればいいだけだ。仮にバリエーションから外れた内容が出題されたとしても、既存のバリエーションに対する解答を応用して組み合わせれば、十分に合格点は取れる。
これは、「あらゆる問題はパターンの組み合わせで解ける」という類型化思考をそのまま適応したものです。ある種の危険思想にも思えるかもしれませんが、受験勉強の中で私がたどり着いた一つの真理でした。
後期試験は、その難易度の高さや傾向の不安定さから、一部では「努力が報われない試験」と呼ばれていました。考えられうる小論文系の参考書は全て学習し、独自に完璧な小論文の解法を編み出したと思い込んでいたものの、自分が書いた論文を第三者に添削してもらったことが一度も無い、というのも心残りでした。「独学は毒学」という格言もあります。
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