安室ちゃんが引退したというのに

作家・王谷晶さんの「女のカラダ」を考える爆走エッセイ…ですが、今回はちょっと王谷さんも休憩気味?! 「あらゆる抑圧を仏恥義理していくことを夜露死苦」し、弱きをくじき強きを助け、肉体の自由をアジリ続けてきた王谷さんでさえかなわない存在、それは……「眉」。ぜひ安室奈美恵をBGMにお楽しみください。


SWEET ’90s BLUES

「お前の人生の主役はお前だ、好きなようにやれ」が本稿のメインテーマであり、特に外見や服装に関してはあらゆる抑圧を仏恥義理していくことを夜露死苦する所存だが、それはファッションという文化文脈を無視したり、ましてや侮辱する意図は少しもない。個々人が取り入れるか取り入れないかは別として、装いの流行というのは常に人類の側にある。それはひとつの偉大な文化であり、人の生活や人生に大なり小なり影響を与えている。

で、ついにマジで来てしまった感じなんですけどみんなはどう? 90年代リバイバル……。店頭や雑誌で厚底やピタTを見て具合が悪くなるアラフォーが続出しているというアレ。服飾だけでなくメイク関連でもここ十年以上続いていたナチュラル~太眉覇権からついに細眉がチャートインしてきたというアレです。安室ちゃんが引退したというのに、コギャル・アムラー文化の亡霊に今さら震えることになるとは……。

愛して眉カット

そう、眉毛。化粧を禁止された田舎の学生にも唯一加工ができた部位。私は1981年生まれのコギャル世代である。高校時代、夏休み前かなんかで体育館に全校生徒が集められ生活指導の教諭が真顔で「今まで一度でも眉毛を抜いたり剃ったりしたことがある生徒は校則違反をしているのです!」と怒った時は、ハコ全体に「苦笑」としか言いようのないグルーヴが流れた。それくらいギャルもオタクもマジメもみんな眉毛を抜いてたのだ。そういう時代だった。この時期に親の仇のごとくヌきまくったためその後自眉が生えなくなってしまったという人も多かろう。

流行のSEASON

こんな毛に「流行」があるというのも面白いなと思う。いくら流行っていてもその人の顔に合っていなかったら整える意味もあるまいと思うのだが、そうは頭で分かっていても「服は三年前のでもいいけど眉毛の流行りだけは一応抑えておきたい」という気持ちが、実は私の中にもある。もっと言うと、「外に出るときはとりあえず眉毛だけは描いておかなくちゃいけない感じがする」という気持ちも、ある。十二回にもわたり肉体の自由をアジり続けてきたにしてはずいぶん弱気な態度じゃねえかと思われるでしょう。骨無しチキンと罵ってくれてもいいです。

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どうせカラダが目当てでしょ

王谷晶

脱・ライフハック! 脱・ヘルシー! ウェルカム非生産! 「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのはだあれ?」女子なら一度はかけられる呪い。でもその美しさって本当は誰のためのもの? “女と女が主人公”の短編集『完璧じゃない、あたしたち』が...もっと読む

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コメント

guriswest 会社で読むのキケン。ウケる。そして、各タイトルのオリジナル部分だけで歌が検索でヒットする安室… https://t.co/5RChtzP0m3 7ヶ月前 replyretweetfavorite

gucchi_penguin 今週もステキです。 7ヶ月前 replyretweetfavorite

hary_jp なぜ髪はモヒカンにできても、眉は時代の「フツー」に寄せてしまうのか https://t.co/l7C9fdS8Pw #スマートニュース 7ヶ月前 replyretweetfavorite

c___v ほんとおもしろいww わかる…何はともあれ眉毛ですよ、数少ないnotムダ毛 7ヶ月前 replyretweetfavorite