閉塞感はずっと続いている
——これまで平成という時代の日本の音楽にまつわる状況について、いろんなお話を訊いてきました。ここ最近についてはどう感じてますか?
斎藤有太(以下、斎藤) 今はいろんなものが並列化してると思いますね。それこそYouTubeもあるし、音楽の作り方も多様になってきている。そのこと自体は全然アリだし、面白いなって思うんですよ。ただ、僕らが知ってることや、今までやってきたことで、「必要ならばこういうやり方もあるよ」っていうのは伝えていきたいかな。
——いわゆる音楽業界というところに関してはどうでしょう? 00年代には閉塞感があったと仰っていましたが。
斎藤 閉塞感みたいなものは、やっぱりずっと続いているような気はしますね。個人的には面白くやっていても、未来に対して開けているような感じは、正直、あまりない。でも、かといってネガティブにはなってないんですよ。今の状況を突き崩すような新しい人がまた出てくると思うし、できれば自分もそういうことに関わりたいし。
——ABEDONさんはどうでしょう? これからの音楽業界についてはどんな考えがありますか?
ABEDON うーん……どうだろう。あのね、淘汰されるんじゃないですか?
——淘汰される。
ABEDON もはや、昔と今とではミュージシャンの考えは変わってますんで。音楽に携わる人たちも考え方を変えないといけないと思いますね。レーベルはレーベルだとか、事務所は事務所だとか、出版は出版だとか、そういう分業は必要なくなるんじゃないですかね。もともとそんな括りもなかったわけだから。
斎藤 うんうん。今までのやり方である理由がない。
ABEDON だから、いろんなものが合体して一つになっていくような気がしますね。で、そうなったら、ミュージシャンも業界に携わる偉い人たちも、それでも相交われるのかを考えて交渉しないといけないと思うんです。お互いが違うことを考えてたら不幸なことになる。そういう主張をするチャンスがあるんだったら、おそらく僕はミュージシャンとして主張しますね。ただ、業界を良くしようとしても、やっぱり対会社となると、いかんせんね。
——どういうことでしょう?
ABEDON その人一人と喋れば肉体と肉体が触れ合って納得できるんですよ。でも、会社となると一人じゃないから責任が曖昧になっていくわけ。で、ミュージシャンから「この人たちは大丈夫なの?」って思われるようになってくる。それはよくないし、そんな悲しい状況は僕はあんまり好きじゃない。だからもっと話をしたいし、「そんな時代じゃないんですよ」と言った上で知恵を出していかないといけないと思う。ミュージックシーンは最先端でないとダメだと思いますね。時代遅れみたいになっちゃてるのはよくない。それを変えるチャンスがあるんだったら僕はやりますけれど、なかなか手強いよ、これは。
斎藤 手強い。
ABEDON 手強いね。かといって僕は自分の人生を謳歌したいんで、構ってられないってところもあるわけね。だから、そこは課題っちゃ課題だけど、別に背負わなくていいっちゃいい(笑)。そういう状況だとは思いますよ。ただ、やっぱり業界がハッピーで、関わるみんなが幸せで、音楽がお金を生んで作り手に還元されてっていうのが絶対いいわけで。で、聴いてる人が幸せになって、子供に伝えて、みんなの元気のもとになったらそれは最高な話じゃないですか。やっぱりそこを目指すべきですよ。そこが原点だしね。
「レコードが売れないからライブだ」っていうのは、不自然だと思う
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