再結成のイメージを格好よくするという課題があった
——2009年にはユニコーンが再結成します。当時のインタビューでABEDONさんは「今の音楽業界は面白くない」と仰っていたんですが、それはどういう感覚だったんでしょうか?
ABEDON それはね、僕がつまらない、面白くないと思ってたわけじゃないんですよ。僕の周りにいたミュージシャンがどんどんクビになっていって、それが気の毒だったんですよね。だから僕が代弁して「面白くない」と言っていたんです。僕は面白かったんですけど(笑)。
斎藤有太(以下、斎藤) アベくんはいつも楽しんでるからね(笑)。
——ABEDONさんとしては、90年代に活動した時とは全く違う視点と発想を持ってユニコーンを再始動したと思うんです。それ以後、ミュージシャンとしての意識や感覚はどう変わりましたか?
ABEDON 年をとるのはいいなと思いました。やっぱり、いろんな場所を経験するとちょっとずつ人の気持ちがわかってくる。「この人はこういう考えでいいんだ」ということを認められるようになる。それは大きかったですね。音楽なんていろんなやり方があるわけで、その人はそういう風にやっていていいんだっていうのがわかるようになった。
——以前はそうではなかった。
ABEDON 若い時は乱暴だからね。20代の時は、自分の音楽が一番格好いいと思って、それ以外は除外しようとしていた。それはつまり、自分が弱いからなんですよ。
——それまでプロデューサーや裏方の立場にいたわけですが、ユニコーンを再結成したことで、再びテレビやフェスの表舞台に立つようになったわけですよね。そこはいかがでしょうか。
ABEDON それは、ユニコーンを再びやる上で目標としていたことがあったので、それに向かって進んでいったということです。40代になったので、また一つ自分なりに目標を立てていたんですね。自分から表に出ようと思っていたわけじゃないけど、それによって自分の目標が達成されるんだったらそうしよう、と。
——それはどういう目標だったんですか?
ABEDON まず、自分の一番近い人と仲良くするということ。それはつまりバンドなんですけど。あと、当時再結成というのがすごく格好悪いことだったんですよ。特にセックス・ピストルズの再結成とか、なかなか格好いい感じじゃなかったので。それを格好よくするという課題があった。
斎藤 たしかに自分が若いときに聴いてた洋楽のバンドの再結成って、いいイメージがなかったよね。どうしても最初のエネルギーを失ってしまう感じがした。そこはなかなか難しいよね。
ABEDON 難しいんですよ。結局は同窓会と一緒だから。あと、もう一つ考えたのが、経済効果。新聞に載るとか、そういうことも考えましたね。だから、進んで人前に出たいわけでもなかったけど、露出は仕方がないかなって。目的があったから。
斎藤有太 ニューアルバム「The Band Goes On」
(ダラシナレコード/Sony Music Artists)