読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第19回 人間が書けているとはどういうことか?(2)

人物の背景はきちんと用意しつつも、それらすべてをべったり書くことはしない、というバランスが必要になる。しっかり背景を持った人物と、特に何も考えていない人物とでは、同じ行動をとっても不思議と説得力が変わってくる。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。

◆登場人物は、その世界で「生きている」
 そもそも、小説はフィクションであって現実ではない。虚構の世界を楽しむために、読者は小説を読むのだ。現実世界で起きている出来事を事細かに知りたいのであれば、新聞やノンフィクションを読めばいいのであって、小説を読む必要はない。
 よくいう「世界観」というのは、奇抜な設定を競うためのものではなく、小説世界をきっちりと作り上げるためにある。
どんなに特殊な世界でも、描かれている世界に真実味があり、その世界の中で辻褄と整合性がとれ、人々の息づかいが感じられ、そこに感情移入して、一緒に泣いたり笑ったりできるのであれば、そこは確かに「存在」する世界だし、充分に「リアリティ」を持つ。
 だから、小説を書く際に注意して欲しいのは、

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新潮社
2018-09-21

この連載について

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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

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