オフィスハック

日経平均は高値でも弊社は修羅場

「これぞ日本版キングスマン」「スカッとする!」「早く映像化して」Twitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』より第2話「ミニマル製菓の社内調整」をリバイバル連載!◆あらすじ◆「ウチの不祥事が表沙汰になる前に…社内調整せよ」2018年、東京丸の内の大企業T社。人事部直轄の特殊部署【四七ソ】に今日も新たな指令が下る。年の差バディ【香田&奥野】が、オフィスでクソ野郎どもを撃ち殺す!

◆2◆ 

 おれと奥野さんは何食わぬ顔でエスカレータを登る。口笛を吹きながら、無精髭サンダル履きのロン毛社員が上から降りてきた。

 おれたちは何食わぬ顔ですれ違う。

 ロン毛の視線は手元のスマホに釘付け。垣間見えたのは好調な日経平均のチャート。

「ん?」

 おれ達とすれ違ったことに、ようやくロン毛が気づいた。そしてエントランスホールで調整済みの受付嬢にも。

「エッ、これ……!」

 ロン毛は大慌てで、スラックスの後ろから違法3Dプリント拳銃を抜いた。

 BLAM!

 おれの銃弾は何の感慨もなくそいつを調整した。

「銃声、聞こえたと思います? サプレッサー、一応つけましたけど」

「聞こえたと思いますね」

 と、奥野さん。そうだよな……。

「じゃあ、もういいですね」

 おれはサプレッサーを取り外し、臨戦態勢を取った。

 エスカレーターを上がりきる。長い廊下だ。既に突き当りのところには10名近い社員が集まり、おれたちを待ち構えていた。

「き、来たぞーッ!」「四七ソだ! 人事部の犬!」「ちくしょう、ブッ殺せ!」

 慌てて拳銃を構え始めたところを見ると、踏み込まれると思っていなかったのだろう。距離20メートル。後ろはエスカレータ。敵の場所までたどり着くまで、廊下には逃げ場も避難所もない。

 中間地点に無料自販機が一個あるが、大した遮蔽物にはなってくれない。

「奥野さん」

「はい」

「ここは、ファランクスでいきます」

 おれは中腰姿勢で防弾ブリーフケースを開き、盾のように構え、防弾面積を増やした。

「了解です」

 ほぼ同時に、奥野さんも防弾ブリーフケースを開いた。

 BLAMBLAMBLAMBLAM!

 廊下の向こう側から、敵の銃弾が飛んできた。横殴りの雨みたいに強烈だ。おれと奥野さんは肩をぴたりと寄せ合い、密集陣形を取った。

 右利きのおれが防弾ブリーフケースを左手。左利きの奥野さんはその逆だ。防弾ブリーフケースで銃弾をしのぎながら、おれたちは前進する。台風の中、傘一本で帰宅する二人組みたいに。

「「……全員、業務活動を直ちに停止せよ! 我々は四七ソだ! 六三フィンの存在は社内倫理第4条に反するという、物的、電子的証拠が揃った!」」

 前進を続けながら、社内調整最終フェイズのマニュアル通り、おれと奥野さんは宣告を行った。

 銃弾がものすごい勢いで飛んでくる。防弾ブリーフケースに跳弾し、壁や天井に突き刺さる。

 右手の壁には「上場前にお得に買おう!」「お年寄りコイン!」「1年で128倍見込み!」などの刺激的なポスターが隙間なく貼られてる。黄金の稲妻が走り、フォントはまるでおれの家の近くのパチンコ屋のポスターだ。

「「これより直ちに社内調整を開始する! 抵抗する者は全員この場で容赦なく調整する! これは最終調整だ! 繰り返す! これは最終調整だ!」」

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これぞ日本版キングスマン/会社あるあるが笑える/スカッとする!/早く映像化して! などTwitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』(著:本兌有・杉ライカ、画:オノ・ナツメ)をリバイバル連載!(あらすじ)「ウチの不祥事が...もっと読む

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