一億総ボケ社会を目指して

世界に届くからこそ身近な人のために—久保ミツロウ×マキタスポーツ対談【第3回】

不特定多数の誰かに向けた表現ではなく、特定のアナタに向けた表現こそが大切。お笑い芸人、マンガ家という多くの人に向けた表現を続ける二人の口から発せられた、この言葉の真意とは? 現代日本を鋭く洞察する二人の発言には、これからの時代を面白くするヒントが溢れています! 久保ミツロウ×マキタスポーツ対談最終回です!

特定のアナタのための表現は求められている

一億総ツッコミ時代 (星海社新書)
一億総ツッコミ時代 (星海社新書)

久保ミツロウ(以下、久保) みんなもっとボケようよ! って話をしてきましたけど、ボケをうまくやっていくための工夫は必要ですよね。表現者として長く愛されるためのコツというか。

マキタ(以下、マキタ) 久保さんが表現者を見る側に立つときには、どういうところに惹かれるんですか?

久保 表現者がたまに見せる素の部分にときめきますね。例えば、ジャニーズで好きなメンバーが、グループの中で他のメンバーと仲良さそうにしてるのを見ると満たされる。素の部分を見せることって、愛されるうえでとても大事なことだと思います。

マキタ 女の人は、そういうところに敏感だよねえ。

久保 男の人も男同士が好き合っているようなシーンが大好きだって、男性編集者の方が言ってました。ちょっと同性愛と勘違いされるのが恐くて描きづらいんですけど、少年誌でそういうキャラクターの素がわかる描写を入れていくのも、大切なことだと教えてもらいました。TBSのオールスター感謝祭の食事のシーンとかも良くないですか? あれも、素が見られる瞬間。

マキタ ああ、あれ、僕も好き。

久保 あの食事のシーンが好きな人は、結構いますよね。食事しているときは、対お客さん以外の顔が見られるじゃないですか。あの2人が並んで食べているのは仲が良いからだろうな、とか想像すると楽しい。素の部分を見せやすくするために、グループとして売り出すことが必要になる場合もある気がします。

マキタ たぶん、特定のアナタに向かって表現することによる色っぽさが出るんじゃないかな。僕はダウンタウンの漫才が好きだったんだけど、それってよく考えたら、2人のやり取りを覗き見している感覚があったからだと思うんです。だから僕が表現をするときも、第三者に向けてやっているんじゃなくて、特定のアナタのためにやっているんですという意識を持つよう心がけています。実はそういうミクロな表現にこそ、広がりがあるんじゃないかって気もするんですよね。

久保 私が漫画を描くときも、まず、編集さんと打ち合わせしてる時にうけたネタとか、友達から聞いた話で印象的だった部分を土台にしようとか、身近な人のことを意識してやっています。漠然と大人数のために描くより、うまくいく気がしますね。自分に向けた表現じゃないものを受け取ることを求めている人は、意外と多いんじゃないかな。Twitterとかでも、別にひろく読者の人とコミュニケーションするのではなくて、親しい人とのやりとりを見せるという形での表現にとどめるのも、人それぞれでいいと思うんですよね。

アゲイン!!(8) (KCデラックス)
久保先生の最新刊『アゲイン!!』(8) (KCデラックス)

表現の影響力が最大化する時代

マキタ ソーシャルな場所で発信する際に、そういうテクニックを一つ知っていると、断然やりやすくなりますよね。久保さんもTwitterをやられていますが気を使っていることとかありますか?

久保 私は自分用の記録だと思ってやっています。だれかと交流する事が最優先ではないですね。人からリアクションを求めるためにやると、自分が潰れちゃうので。

マキタ 僕も全く同じ。キングコングの西野(亮廣)くんが言ってたんだけど、ある程度挑発とかにも乗っていっていいけど、絶対に相手に主導権は取らせないようにしないといけない。Twitterは自分のためのメディアだからって。

久保 SNSでのやり取りって合気道みたいなもんですよね。見ず知らずの相手だとツッコミの勢いをいかに殺して別のところに逃がすかを考える。

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一億総ボケ社会を目指して

マキタスポーツ /久保ミツロウ /cakes編集部

『モテキ』(講談社)、『アゲイン!!』(講談社)などのヒット作を世に送り出したマンガ家としてだけでなく、テレビやラジオのレギュラ―なども持つ久保ミツロウさん。お笑い芸人に留まらず、ミュージシャンや役者としても活躍しているマキタスポーツ...もっと読む

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コメント

hirarisa_LV0 いま無意識にGoogleで「ときめき cakes」って検索していて自分でびっくりした……ちなみに弊サイトの記事、ちゃんとひっかかりました。 https://t.co/y8zJWOKdRI 5年弱前 replyretweetfavorite

moatjiang88 「表現者がたまに見せる素の部分にときめく」ってまさに昨日までのTwitter祭りだなぁと思って妙に納得。/ 5年弱前 replyretweetfavorite

larcfortdunord 「漫画や芝居といったフィクションの世界でこそ、リアルな感覚を優先した方がいい」 5年以上前 replyretweetfavorite

manaview 自分なりの表現のメソッドを。 5年以上前 replyretweetfavorite