秘湯めぐりが悲湯めぐりになった話【悪石島①】

島好き最後の聖地「トカラ列島」のかつてないエッセイ&ガイド『トカラ列島秘境さんぽ』より、島の魅力をお届けする連載。
来訪伸「ボゼ」の悪石島で、個性豊かな温泉めぐり。

悪石島ホカホカ温泉ツアー


悪石島(あくせきじま)」。「悪」という文字が強烈に目に飛び込んでくる。なんだか、おどろおどろしい雰囲気を醸し出しているかのような島名。たぶん、一度聞いたら忘れない。

2009年7月22日。皆既日食が最長時間観測できる場所として、一躍その名が全国に知られるようになった。結局、当日は暴風雨に見舞われ、この島での日食は観測できなかったらしい。そもそも日食以前に、人口70人ほどの島におよそ400人もの観光客が一気に押し寄せるコト自体、キャパオーバー。人ゴミが苦手な私は、想像するだけでぐったりしてしまう。そんなぐったり疲れには、やっぱり温泉がいい(唐突!)。

日本人はなぜ、歳を重ねると温泉を求めるようになるんだろう。富士山を見るとテンションが上がる現象と同様に、遺伝子に組み込まれているとしか思えない。トカラ列島の島々の温泉は、基本的に室内にある銭湯風なモノ(レトロではない)がほとんど。だが悪石島の温泉は、なにやらバラエティに富んでいるのだ。

温泉と言えば、まずはやっぱり露天風呂。私の中で温泉の花形さんである。しかも、悪石島では海を眺めながら入れると言うではないか!

宿がある「上集落」から下り坂をてくてく30分ほど歩き、「浜集落」の近くにある「♨」が白字で書かれた岩を通り越し、さらに下ったトコロに白い建物がある。ココは室内温泉の「湯泊温泉」だ。その外側、海岸に面したコンクリートの小さな建物に「女湯」の文字が。こちらがお目当の露天風呂。ちゃんと男湯と分かれていて、うれしい。目隠しらしき黒い布がややボロボロで、露天風呂が丸見えなコトが気になりつつも、小走りで近づく。

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トカラ列島 秘境さんぽ

松鳥 むう
西日本出版社
2018-07-26

この連載について

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島好き最後の聖地 トカラ列島秘境さんぽ

松鳥むう

島好きイラストエッセイスト・松鳥むうがおくる、かつてないトカラ列島ガイド&エッセイ! 『島好き最後の聖地 トカラ列島秘境さんぽ』より抜粋し、まだまだ知られていない日本の離島を紹介します。

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