検索を欲望させる
といったところで連載の主題に戻りますが、これはネットについても同じことが言えます。
今後は、記憶容量の制限が事実上なくなり、とにかくあらゆるものがデジタル化され、無限に近くストックすることができるようになるはずです。ライフログとかビッグデータとかいった話です。公的機関も今後はオープン化が進み、議事録から内部資料からなにからなにまで、莫大なデータが公開されるようになるでしょう。興味さえあれば、今後はだれでもあらゆる情報にアクセスすることができるようになるわけです。すばらしいといえばすばらしい。
しかし、そうなってくると、今度はその膨大な情報が「本当に見られているのか」が重要になってくる。ネットの情報は、辿り着くためにはまず検索ワードを打ち込まなければならない。「その情報が見たい!」と欲望するひとがいなければならないのです。いくらデータベースを公開しても、公開された情報をだれも欲望しないのでは意味がない。あらゆる情報がネット上でストックされるこれからの時代においては、「検索の欲望」をどう喚起するか、そこが重要な問題として浮上してきます。
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