有働由美子と池上彰

今回の「ワダアキ考」は、2014年以来、4年ぶりに取り上げる有働由美子アナウンサーです。アナウンサーと言っても、今年4月にNHKを退職、ジャーナリストとして活動していく意向を明らかにしていました。そして先日『news zero』のメインキャスターに就任。ジャーナリストになるはずだった彼女を、武田砂鉄さんはどう見たのでしょうか。

充電を発表していたはずの池上彰

そういえば池上彰は、2011年1月の時点で「3月までの収録をもって一切のテレビ・ラジオ出演を控えて充電すると同時に、取材や執筆活動に専念させていただきたいと考えております」と発表していたが、その後、震災報道番組への出演などが相次いだこともあってか、今現在も、テレビをつければ池上が何かしらを解説している状態が続く。

民放で重宝され始めた頃には「いい質問ですね!」が池上の口癖だったが、もはや、ひな壇に並ぶ芸能人にしろ、隣にいるアナウンサーにしろ、池上にあれこれ質問するよりも、質問を最小限にとどめて独演に持ち込ませたほうが、解説がコンパクトに伝わることを知っている。だから、出演者は無理をしない。「いい質問」というより、「いい頷き方」を披露、すっかり池上の癖を読み取っている。あそこまで型が決まっている中に新規参入者が放り込まれれば、当人は、自分の質問が「さほどいい質問ではないかもしれない可能性」に怯えてしまうだろう。

「簡単にジャーナリストを自称するな」

テレビ出演を一旦控えると宣言したのは、ジャーナリストとして「取材や執筆活動に専念」したいと考えたから。2009年に出たベストセラー『<わかりやすく>伝える技術』では、自分の方向性について「放送で自分の意見を言うのではなく、出来事の意味を解説しよう」と定めており、それを読んで、こちらが直情的に叫んでしまった「言えよ、自分の意見」を、いまだに投げ続けている。とはいえ、ジャーナリストとしての仕事よりも、「出来事の意味を解説する」仕事を選ばれたのだから、その判断について、視聴者がとやかく言うことでもない。その判断を尊重しつつ、テレビの前で「言えよ、自分の意見」とつぶやくだけだ。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

nichiyokindo とても鋭い。「皆さまの」と云いつつ、実はまったくこちら側を向いていないNHKという組織のキャスターとジャーナリズムとは相性が悪いと思う。 https://t.co/PPVjx6IAem 2ヶ月前 replyretweetfavorite

bodyhacker 観てないからなんとも でもおもしろい 2ヶ月前 replyretweetfavorite

0501Can @cakes_PRさんから # @takedasatetsu #武田砂鉄 2ヶ月前 replyretweetfavorite