イヤー・オブ・ザ・コンプレックス
耳、比較的地味なパーツだなーという印象だ。ピアスやイヤリングで飾ったりはするけど、そのときも注目されるのはあくまでアクセサリーで、土台の耳って自分のも他人のもあまり意識して見たことがない。美容雑誌とかでも耳のお手入れTIPSというのはほぼ見たことがないな。せいぜい衛生面の注意くらいだ。
しかし思い起こすと以前にも書いたコンプレックス産業で悪魔の手先として働いていた時期、リサーチとして同業他社の美容整形外科のホームページをよく見ていたのだけど、そこには「耳の整形」というジャンルが確かに確立されていた。耳を大きくしたり小さくしたり、位置を変えたり角度を変えたりというけっこう大掛かりな手術も紹介されていた。高額な手術を希望するほど耳の形や位置で深く悩んでいる人がいることを、その時初めて知った。
ハッピー・ニューイヤー
ここで「耳の形なんてそんなに悩むことないよ~ほとんどの人は気にしてないって~」と言ってしまうのは簡単だ。心理面へのアプローチだけでコンプレックスを解消できるならそれは素晴らしいことだとも思う。でも、誰でも他人に理解されづらいコンプレックスのひとつやふたつ持っとるだろう。それが努力や化粧のテクニック等で解消できないものなら、なおさら悩みは深くなる。耳の形を気合や化粧で変えるのはたぶん無理だ。パテ盛りしたり特殊メイクみたいな方法を使えばできるかもしれないけど、それを出かけるたびにやってたら生活が破綻する。ならば整形手術という手段、理にかなってるなと思った。
私はそれで当人がハッピーになれるなら、整形という方法、耳に限らずアリアリだと考えている。お金とか手術のリスクの話なんてのもやる本人が誰より一番考えてるんだから、身内でもない外野がやいやい言うことではない。そりゃあまりにもうさんくさかったり健康を害しそうな方法を選ぼうとしてる人が近くに居たら止めるけど、「その人の身体はその人のもの」は私の信条のビリングトップでもあるので。「変わらなくても大丈夫」と「変えたいところは変えていい」を同時に言ってきたい。人生一回しかないんだし、付き合っててストレスになるものは、たとえ自分の身体でもどんどん変えたり切り離したり足したりしてよいのだ。自分の身体と一番長く付き合うのは、他人ではなく自分。自分を棺桶まで持っていけるのは、自分だけだから。
デビルイヤーは三割うまい
とは言うても耳のデフォルトのメイン機能は「聞くこと」なわけですが、それにただ音声で鼓膜を振動させる以外の意味が発生してしまうのがこのせちがらい社会生活。耳を傾ける、聞き分けの良し悪し、拝聴、小耳に挟む、耳年増。好きで聞いてる音楽もなぜか「アピール」「男の影響」とかいらんノイズがくっつけられたりして。非常にうるさい。
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