大学はこの地上で最も美しいものの一つであるべきだ」と思ったときのこと。

「椎名林檎のセカンドアルバムが出るから」という理由で自殺を踏みとどまった坂爪さんでしたが、浪人生活に突入すると完全なる「社会的孤立」状態に置かれてしまいます。「東大」の2文字が頭を横切る悶々とした日々のなかで、詩人のメンスフィールドによる、“大学は「無知を憎む人々が知識を得ようと努力し、真理を知る人々が他者の目を開かせようと努力する場所」だ”という言葉を思いだすのですが……。『孤独とセックス』も読んでね!

●宅浪×コンビニの夜勤バイト

「椎名林檎のセカンドアルバムが出るから」というだけの理由で、生きることを決意した私は、何の夢も目標も無いまま、浪人生活に突入します。

友人や恋人のいない状態で、進学も就職もせずに高校を卒業した若者の居場所は、当時も今も地域社会にはほとんどありません。クラスも部活も委員会も無くなるため、他者とコミュニケーションをとる機会は激減します。待ち受けているのは、完全な社会的孤立です。

ただ、それまでの三年間、孤独な生活を送っていた私は、誰とも話さない暮らし自体には良くも悪くも完全に慣れていました。「適当に勉強していても合格できる公立大学に行って、ひたすら自室にひきこもって絵を描く生活を送ろう」と決意しました。

強迫観念に駆られたまま、誰かが決めたルールの中で競争させられる人生はもうごめんだ。誰ともコミュニケーションをとらずに、好きな絵だけを描いてひっそりと暮らしていきたい……。その軍資金を稼ぐために、他人とほとんど話さなくて済むコンビニの一人夜勤のバイトを始めました。

予備校や塾を含め、学校的な空間には二度と近寄りたくなかったので、自宅で浪人(宅浪)することにしました。志望校は、苦手だった数学を使わなくても受験できる、関西の中堅公立大学に決めました。

宅浪×コンビニの夜勤バイトというコミュニケーションの希薄な環境の中で、誰ともしゃべらずに黙々とイラストを描き続ける日々が始まります。

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孤独と性をめぐる11のレッスン

坂爪真吾

高校の三年間、友だちは一人もできなかったし、恋人も作れなかった。恋愛もセックスも何一つできなかった。一発逆転を賭けて東大を目指すも、センター試験は全教科白紙で提出。すべてから逃げ出した坂爪少年は「卒業式が終わったら、自殺しよう」と決意...もっと読む

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