第11回 キシリトールガムがヒットした理由 — バリュープロポジションとブルーオーシャン戦略 — (前編) 

『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』発売!!これを記念して、第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。

18

 仕事で帰宅が真夜中になってしまった。久美は暗く狭い夜道を急いでいた。
 急に後ろからヘッドライトが照らされる。同時に大きなクラクションが鳴る。巨大な光が迫ってくる。狭い夜道を道幅いっぱいに走ってくるダンプカーだ。
「な、なんなのよ! こんな狭い道なのに!」
 道路際に避けてもこれではひかれてしまう。久美は走って逃げるが、ダンプカーはぐんぐん迫ってくる。
 後ろを振り返ると、ダンプカーの正面にはバリューマックス社のロゴがデカデカと貼られている。運転席に目を向けると、あの内山明日香が澄ました顔で運転している。
その横に人がいる。よく見たら、ニヤニヤしている与田誠だった。
「キャアァァァー!」
 速く走ろうにもハイヒールなのでうまく走れない。そのうち正面に巨大な壁が現れ、道を塞いでいた。

「何よ! なんでこんなところにこんな壁があるのよ!」
 壁には暴走族風のスプレーの落書きがある。「価格勝負」と書いてある上に大きな×が描かれている。
 後ろには明日香が運転するバリューマックス社のトラック。正面には壁。ダメだ。ひかれてしまう。自分の人生はここで終わるのか!
「イヤアァァァー!」
 自分の声で目が覚めた。夢だった。心臓がバクバクしている。すごい寝汗だ。

19

 与田には「すごい商品企画を持ってきます」とタンカを切ってみたものの、まったくアイデアが出ないまま、もう1週間が過ぎていた。
 最近は、考え事をしていてなかなか寝つけないうえ、夜中には変な夢ばかり見る。
明らかに寝不足で、思考力も落ちている。おかげで化粧のノリも悪くなり、自慢の黒髪も最近枝毛が増える始末。踏んだり蹴ったりだ。しかも全部自分でまいた種。自業自得だということは、久美自身が一番よくわかっていた。
 会社に行っても、やはりなかなか案がまとまらなかった。どうしても今までの延長線上のアイデアしか出てこない。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
100円のコーラを1000円で売る方法

永井孝尚

6月8日に40万部突破のビジネスストーリー本『100円のコーラ』シリーズの完結編『100円のコーラを1000円で売る方法3』が刊行されます。 そこで第1弾『100円のコーラを1000円で売る方法』を完全公開。勝気な主人公・宮前久美と...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

takahisanagai 「つまり、街の電気屋さんにもお客さんのニーズがあるってことです」CAKES連載11回目「キシリトールガムがヒットした理由 —— バリュープロポジションとブルーオーシャン戦略——(前編)」 https://t.co/P8FMFg2vah 5年弱前 replyretweetfavorite

tanayuki 「宮前さん、〝街の電器屋さん〟って成長していると思いますか?」 5年弱前 replyretweetfavorite