第6回】完成された世界にこそスキマがある

社内に提案した企画が「そんなこと無理だ」と突っぱねられる。そんな風景は組織に属していれば日常茶飯事のことかもしれません。 「ブラタモリ」の尾関プロデューサーも業界の「常識」や「定説」にぶつかったことがありました。しかし、そこで見えてきたのは、完成されている世界にも存在する「スキマ」。ブラタモリのカメラワークのお話です。

「そんなこと無理だ」と言われたら

やる前から「そんなの無理だ」とか「ありえない」などの意見が出ることは、どんな職場でも日常の出来事でしょう。新しいアイデアを口にしたときの反応としては、そんな意見の方が多いかもしれません。

でも、そんなときこそ「何事も最初から決めつけちゃいけない」という「世の中の隙間」を探すべきです。

こんなエピソードがありました。

 

『ブラタモリ』を始めるとき、悩んだのは映像の変化の付け方でした。

普通、街歩き番組は、カメラマンがカメラを担いで撮る映像が中心。カメラを三脚に固定しないそうした撮り方は、「手持ち」「かつぎ」といいます。

手持ちカメラで撮る映像は、生き生きしていますが、落ち着かない印象にもつながります。

複数のカメラを入れればいい映像が撮れるかというと、そうでもありません。

街中で複数のカメラを使いあちこちから撮っていると、待ちかまえている感じがして、生の臨場感が薄れるのです。

またカメラマン同士もお互いに撮影し合うことになるので、カメラマンが位置取りを気にしてしまい、自由なカメラワークを疎外されることもあります。

動きについていかなければならない撮影では、カメラマンがひとり、いわゆる「ワンカメ」という状態が一番スッキリします。

『ブラタモリ』でも多くのシーンで、原則的にワンカメ体制で臨むことにしました。

しかし、やっぱり映像には変化を出したい……。

そんなときに技術チームから出たのが、「タモカメ」のアイデアでした。

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ブラタモリ』を生み出した  脱・マーケティングの企画術

尾関憲一

終了から1年今なお再開を望む声が寄せられる、探検散歩番組『ブラタモリ』。マニアと思われていた地理や歴史の世界を鮮やかにヒットにつなげたのはNHKの敏腕プロデューサー、尾関憲一氏でした。『東京カワイイ★TV』『天才てれびくん』『熱中時間...もっと読む

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コメント

porpor35 常識を疑い、世の中の隙間を見つけること。 約5年前 replyretweetfavorite

UmiSola じわじわ来る番組だったよね。 約5年前 replyretweetfavorite