「そんなこと無理だ」と言われたら
やる前から「そんなの無理だ」とか「ありえない」などの意見が出ることは、どんな職場でも日常の出来事でしょう。新しいアイデアを口にしたときの反応としては、そんな意見の方が多いかもしれません。
でも、そんなときこそ「何事も最初から決めつけちゃいけない」という「世の中の隙間」を探すべきです。
こんなエピソードがありました。
『ブラタモリ』を始めるとき、悩んだのは映像の変化の付け方でした。
普通、街歩き番組は、カメラマンがカメラを担いで撮る映像が中心。カメラを三脚に固定しないそうした撮り方は、「手持ち」「かつぎ」といいます。
手持ちカメラで撮る映像は、生き生きしていますが、落ち着かない印象にもつながります。
複数のカメラを入れればいい映像が撮れるかというと、そうでもありません。
街中で複数のカメラを使いあちこちから撮っていると、待ちかまえている感じがして、生の臨場感が薄れるのです。
またカメラマン同士もお互いに撮影し合うことになるので、カメラマンが位置取りを気にしてしまい、自由なカメラワークを疎外されることもあります。
動きについていかなければならない撮影では、カメラマンがひとり、いわゆる「ワンカメ」という状態が一番スッキリします。
『ブラタモリ』でも多くのシーンで、原則的にワンカメ体制で臨むことにしました。
しかし、やっぱり映像には変化を出したい……。
そんなときに技術チームから出たのが、「タモカメ」のアイデアでした。
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