日本に帰ると決めて、最初に「僕と一緒に野球をしないか」と誘ってくれたのは読売ジャイアンツの原(辰徳)さん。原さんのことは好きだったから、素直に嬉しかった。
次が、千葉ロッテだったと思う。メッツ時代の監督だったボビー・バレンタインがロッテの新監督になることが決まっていた。ボビーがもう一度僕をほしいと言ってくれたんだ。
3番目が日本ハムファイターズ。
ん?日ハム?
日ハムは2年連続5位に低迷するチームだった。
次のシーズンから北海道に移転し、「北海道日本ハムファイターズ」として新しくスタートすることになっていた。
正直、北海道みたいに寒いところで野球なんてできるのかと思った。
しかも、北海道の人の多くがジャイアンツファンだってことを、僕は知っていた。
ここまで読んできた人は、もうわかっているはずだ。僕が活躍できるチームがあるとすれば、日ハムしかない。僕は逆境になると燃えるし、力を出せるから。
僕一人で、チームをどれだけを強くできるだろう?
僕一人で、北海道をどれだけ盛り上げられるだろう?
このチームを優勝させたら、どれだけ格好いいだろう?
そう考えたら、ワクワクが止まらなくなってきた。
年俸なんてどうでもいい。僕は日ハム入団を決めた。
で、最初のファンサービスとして、札幌ドームのグラウンドで入団発表をすることにした。
ファンは無料で入場できるようにしてもらったら、集まったのが2200人。
登録名は「SHINJO」。
日本球界で、日本人がアルファベットで登録するのは初めてだった。
こういうのって、初めてじゃないと面白くないでしょ?
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