「二号機、ちゃんとこっちの椅子に座りな」
「やだー」
二号機はラボに戻ってからずっと、隅っこで膝を抱えて床に座っていた。電源を切られるのが嫌だとごねているのだ。
「仕方ないじゃないか。異状がないかどうか、検査しないといけないんだから」
天本が言っても、二号機はむくれたままだ。
「人間だって、階段から落ちたりしたら、病院に行って検査するんだよ」
「天本が遊んでくれるなら、座ってあげてもいいよー」
二号機は拗ねたように床を指でつついている。
天本は困り果てたが、平田の話を聞かれていたことを考えると、あまり強くも言えなかった。
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