僕はなぜ、20億円もの大金を失ったのか #1

20億円が、たったの2000万円に! しかも、お金をだまし取ったのは新庄さんが18歳のときからお世話になっていたAさんだった――。 第1回は、20億円横領事件の真相に迫ります。◆話題沸騰!『わいたこら。』を全文公開【毎週火・木更新】◆

38歳のとき、僕の人生は一度終わってしまった。

僕は、それまで稼いできた20億円以上のお金を、ある人に使い込まれた。
使い込まれただけでも最悪だけど、もっと最悪なことに、やったのは僕が一番信用していた人だった。 今、思い出そうとしても、当時の記憶はほとんどない。
使い込まれたとわかってから、もう、何もかも信じられなくなった。
仕事なんて、とてもじゃないけど、やろうと思えなかった。できなかった。

朝、目が覚めて、全部がウソだったんじゃないか、と思う瞬間があった。でも、すぐに胸焼けと吐き気が混ざったみたいなものがこみ上げてきて、やっぱりあれは本当だったんだと気づく。

テレビでお笑いタレントが何かを言って、周りの人が腹を抱えて笑っている。
スーツを着た人たちがカバンを持って会社に向かっている。
宅配ピザのバイクが、誰かの家に向かって走っていく。
そんなのを見ていると、「ああ何も変わっていないんだ。いつもと一緒だ」と思えてくる。でも、しばらくすると、やっぱりダメだった。
起きている間中、ずっと苦しくて、寝られない夜もしょっちゅうだった。
そんな日が、何日も何日も続いた。

当時の僕は、「信用している人にお金を使い込まれた」なんて誰にも言えなくて、たった一人で苦しんでいた。
後輩や友だちから、「ツーさん、飯でも行きましょう」と言われたりするのが、とてもつらかった。僕はいつも明るく見えるらしいけど、本当はそうじゃない。無理して格好つけてるときもあるんだ。

よく生きてこれたと思う。
よく乗り越えられたと思う。

いや、完全に乗り越えられたかというと、ちょっと自信がない。100%大丈夫と言えるほど、僕は強い人間じゃない。
でも、本当に少しずつだけど、前を向いて生きていこうと思えるようになった。

2017年に放映された「しくじり先生」というテレビ番組を見ただろうか?
あの番組で、僕は金銭トラブルのことを初めてみんなに告白した。しくじった経験を話せばちょっとでも誰かの役に立つかな、と思ったからだ。

それまで、テレビで金銭トラブルを告白しようなんて考えたこともなかった。告白できるようになるまでに7年も時間がかかったんだ。

完全に乗り越えられたかというと、
ちょっと自信がない。
100%大丈夫と言えるほど、
僕は強い人間じゃない。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

「スター新庄」が今、すべてを語る、前代未聞の「しくじり」体験!

この連載について

初回を読む
新庄剛志『わいたこら。』

新庄剛志

テレビ『しくじり先生』で、「20億円を使いこまれていた」と衝撃の告白をし、日本中にセンセーションを起こした新庄剛志さん。失意のどん底で、何を考え、どう乗り越えたのか!? 新庄剛志さんが自身の半生を綴った『わいたこら。』(学研プラス)を...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

masa_mitsu 何か壮絶なお話ですね…/「僕はスーパーで食材の買い出しをするとか、ATMでお金を引き出すとか、そういう体験を一度もしたことがなかった」 約1年前 replyretweetfavorite