●「見えているものは確実に増えている」
二〇一七年十一月十一日。
北海道日本ハムファイターズの大谷翔平は、東京都内にある日本記者クラブで会見を開いた。ポスティングシステムによってメジャーへ挑戦する意向を正式に発表したのだ。
紫色のネクタイに薄いグレーのスーツ姿で現れた表明会見ではこう言った。
《プレイしているなかで、一番の選手になりたい。野球は何をもって一番かというのは計りにくいですけど、ファンの方やいろんな人たちから『彼が一番だ』と言ってもらうことは幸せなことだと思います。そういう選手を目指して頑張っていきたいです》
そして、こんな言葉も口にした。
《二刀流は自分だけのものではない》
その言葉に込めた思いを大谷はこう語るのだ。
「(日本ハムで)五年間やってきましたけど、栗山監督をはじめ、お世話になったコーチの方、こういう(二刀流の)体制を作ってくださったスタッフの方々やファンの方々、いろんな方がいて今があると思っています。二刀流というものを崩すことにもそれなりの勇気がいると思いますし、自分としてはそれを続けていきたいので『頑張りたいな』と思って。応援してくださる方の期待を裏切りたくない。そういう思いもあって」
六年前に思い描いていたメジャーと、今23歳になって思い描くメジャー。彼にとってのメジャーの風景は変わったのだろうか? そう尋ねると、彼はこう言った。
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