お料理教室よりゴルフが正解
私は幼い頃にお絵描き、英語、習字、ピアノを習っていました。
このうち、ピアノと習字の話をしたいと思います。
ピアノの練習の基本は、エチュードの繰り返し。つまり、同じ練習曲を毎日、何度も弾き続けることです。
しかし、私はこれがとても苦手でした。
ピアノを習い始めたのは、小学校に入る前で、小学校に入学してからは、1日30分、ピアノの練習をするのが日課でした。この時間が苦痛で苦痛でたまらなかった私は、練習を始めてすぐに、母に向かって、「ねぇ、いま何分経った?」と聞いていたそうです。
母は「5分よ」とさらりと答えます。
「え? それしか経っていないんだ……」
そう思いながらも、その後も私は5分ごとに母に同じことを尋ね続けたそうです。「いくたびも雪の深さを尋ねけり」と詠んだ正岡子規を思い出す度に、恥ずかしくなるようなくだらない質問です。
好きなことをやっている30分と嫌いなことをやっている30分では身体で感じる長さがまるで違います。ピアノの練習をしている30分は、遊んでいる30分と比べて、信じられないくらい長い。私は、母が私に嘘をついているのではないかと疑ったほどでした。そのため、同居していた祖母にも同じことを聞きました。しかし、祖母から出てきた答えも「5分よ」だったのです。
当たり前ですが、私の「ピアノ」はまったくものになりませんでした。
一方、ピアノよりもなんとか続けることができたのは習字でした。ちなみに私は習字が好きだったわけではありません。むしろ、ピアノと同様、そこまで面白みを感じることはできませんでした。
そのため習字も人に自慢するほど、ものにできなかったものの、それでもピアノよりはまだ、継続して努力し続けることができたのは事実です。
このふたつの違いはなんだったのでしょうか?
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