島に信号機が1台? わたしを離島旅に引き込んだ「離島あるある」

2011年から、国内の離島をひとりで旅してきた大畠順子さん。7年間の旅の体験をまとめた『離島ひとり旅』(辰巳出版)の出版を記念して、8月6日に、「H.I.S.旅と本と珈琲とOmotesando」で行われたトークイベントの模様を特別公開いたします。
第1回目は、大畠さんが離島にはまるきっかけになった新潟の粟島&東京の神津島のお話です!

なぜ離島に行くんですか?

2011年から7年間、国内の離島をひとりで旅してきました。

こう話すと、必ず3つの質問をされます。

最も多いのが「一番好きな島はどこですか?」という質問。うーん……そう聞かれても、ちょっと答えられない。その島でしか見られない絶景だったり、その土地ならではの風習だったり、出会った人の温かさだったり。島のいいところはそれぞれ異なります。いわば、どの島も好き。一番なんて、決められません。

2番目に多いのが「なぜ離島に行くんですか?」という質問。これに対するアンサーは、この記事の中でじっくりお答えしていきましょう。

そして3番目に多いのが「今まで、いくつの離島に行ったんですか?」という質問です。私がこの7年間で訪れた離島は、約40島。会社員として働きながら、休暇を利用しての旅ということもあり、こう伝えると、たいていの方が「ずいぶん多いね」とおっしゃいます。では、日本にいくつの離島があるか知っていますか?

離島の数は、「離島」をどう定義するかによって変化します。国土交通省では「満潮時に海抜から姿を現していて、なおかつ周囲が100mある島」が離島と定義されています。この条件に当てはまる島は、国内だけで6852島。おそらく本土も含まれているので、それを除くと6847島でしょうか。あまりに多すぎて、いくらお金と時間をかけても、すべて訪れるのは不可能ですね。

その中で、人が住んで生活している「有人離島」といわれる島は、418島。これは、2018年現在の数なので、来年になれば、もしかしたら変わってしまうかもしれません。私がおもに訪れるのは、この有人離島です。つまり、まだ10分の1も訪れていないんですね。

2000円の「幻のラーメン」の味は……

私の離島デビューは、新潟県の佐渡島でした。観光地も多くいい島なんですが、私の想像していた離島とは、少し違ったんですよね。コンビニもレンタカーもあるし、いくら歩いても島を一周できない。「思ったより便利だし、広いな……」という印象を受けました。

東京に戻ってから、そんな話を周りの人にしていたら「佐渡島の上に粟島っていう島があるから、行ってみなよ」と言われたんです。確かに、地図を見ると佐渡島の上に小さな島がポコンと浮かんでいます。好奇心に駆られ、それから2ヵ月後に初めて粟島を訪れました。

粟島には、島の外周をぐるりと囲む道路と、島を横断する道路の、計2本しか道路がありません(集落内の路地を除く)。許可車両以外持ち込んではいけないという決まりがあり、軽トラックが時々山を横断する以外は、基本的に車は走っていないんです。にもかかわらず、島には信号機が1台だけ設置されている……。実はこれ、「離島あるある」といえるエピソードなんです。

島の南端から一気に下る坂道。左手に緑、右手に青、最高に気持ちがいい!

粟島は人口350人程度の島で、島内には高校がありません。子どもたちは、中学校を卒業したら、一度は島を出なきゃいけないんです。そうなったときに、信号機を見たことがないというのは、けっこう危険。なので、信号機を学校の前に設置し、「赤になったら止まる」というルールを教えるのだそうです。そんな話を地元の人から聞き、「同じ国内にありながら、こんなにも文化が違うんだ!」と驚いたことが、離島に引き込まれるきっかけになりました。

ところで、粟島には「かもめ食堂」という食堂があります。船が到着する港の反対側にあるので、自転車を1時間半こがなければ、到着することができません。そんな苦労までしてこの食堂に行きたかったのは、「粟島ラーメン」という、2000円もする名物があると聞いたからです。ところがこのラーメン、予約限定なんですよ。へとへとになって食堂までたどり着いたにもかかわらず、私は2度食べ損ねました。

3度目の正直で、ついに粟島ラーメンとご対面すると……普通のラーメンの2倍のサイズの丼に、アワビやメカブ、イカやタコなどがてんこ盛り。掘ってみるとたくさんの海鮮が出てくるのでお値段的にはむしろお得かと思うのですが、たぶん、お刺身として食べたほうがおいしいです(笑)。

豪華な海の幸をたっぷり使った「粟島ラーメン」は要予約なのでご注意を

離島旅のハードルがグッと下がったおばちゃんとの交流

粟島ですっかり離島に魅了された私が、3つ目か4つ目に訪れた島が、伊豆諸島にある神津島という島でした。私は、普段はフルタイムで会社勤めをしています。そのため、まとめて休みを取るのがなかなか難しい。「休みが取れたときに旅に出なければ」と思い、神津島を訪れたのは、離島シーズンではない年末年始でした。

海から眺めると白い山肌が美しい神津島の「天上山」。山頂には月面のような裏砂漠が

最近、伊豆諸島初のクラフトビールの店ができて、非常に人気が高まっている神津島。でも、私が7年前に訪れたときは、そんな賑わいもなく……。しかも、冬場の女性ひとり旅。当然ながらほかの部屋はがら空きで、民宿側からすれば、おそらく予定外の客だったと思います。

私が泊まったのは、おばちゃんがひとりで経営している民宿でした。離島には、飲食店が豊富にあるわけではないため、1泊2食付きの民宿に泊まるというのが基本です。そろそろ夕飯の時間だなと思って、部屋から出ると、おばちゃんから「夕飯を食べに行こう」と誘われてびっくり。(ひとり分を準備するのは面倒くさいよね、わかるよ……)と心の中で思いつつ、2人で夕飯を食べに出かけました。

夕飯を食べ終えて、私を宿まで送り届けたあと、「じゃあ、私は飲み会に行ってくるから!」と言って、おばちゃんは去っていきました。誰もいない民宿で寝て、朝になって食堂に行くと……テーブルの上に置かれていたのは、寿司屋のお土産(笑)。人によっては怒りだすかもしれない状況ですが、私はこれを見て、離島のゆるさにすっかり心を射止められてしまったんです。

おみやげのお寿司が朝食に!

7年間の離島ひとり旅で、驚くような体験をいろいろしてきましたが、神津島での出来事があったからこそ、私の離島旅のハードルはグッと下がったんだと思います。あ、おばちゃんの名誉のために付け加えておくと、寿司折だけじゃなく、伊勢エビの味噌汁なども作って出してくれましたよ!

(構成:東谷好依)


日本の島を歩き回る女子が厳選!“非日常”を味わう離島30

離島ひとり旅

大畠 順子
辰巳出版
2018-07-31

この連載について

私がひとりで離島を旅するわけ

大畠順子

2011年から、国内の離島をひとりで旅してきた大畠順子さん。 7年間の旅の体験をまとめた『離島ひとり旅』(辰巳出版)の出版を記念して、8月6日に「H.I.S.旅と本と珈琲とOmotesando」で行われたトークイベントの模様を特別...もっと読む

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コメント

shiomikozue 思いがけず「粟島」に遭遇した(私は行ったことないのだけど)。粟島ラーメンかー。https://t.co/GLak30L6QQ 約2年前 replyretweetfavorite

hanzae22 #スマートニュース 約2年前 replyretweetfavorite

chogiyo 後半の民宿の話しをどう思うかでその人のユル旅適性がわかるかも^^素敵☆ 約2年前 replyretweetfavorite

rikyun 離島あるある。わいの実家の島隣にある喜界島も信号機が一台しかない。Rt 約2年前 replyretweetfavorite