前回、地方から人が減っていく中で、「わざわざ」として移住者の雇用を増やす取り組みをお伝えしました。今回も引き続き雇用を増やすために作ったちょっと変わったしくみの一部をご紹介したいと思います。
1. 会社支給の賄い制度
夏場は自分たちの畑で作った野菜が賄いに並ぶ
わざわざには創業当時から賄い制度があり、会社になっても継続している。飲食店やパン屋によくある「賄い」は、店で余ったものをスタッフに昼食として振舞ったり、休憩時間にパパッと簡単なご飯を作ってみんなで食べるものだけど、わざわざのはちょっと違う。事業を始めた当初は一人だったので、もちろん仕事の合間にご飯を作って一人で食べていたのだが、2人3人と段々と人が増えて、ではみんなの分もまとめて作ろうとなって、7人8人となり、今は14人分。
はっきり言ってとっても大変。だけどこれはやめないで継続していきたいと思っている。もし今後スタッフが30人50人になっていくことがあるならば、そのための食堂を作ろうと考えている。賄いは私が全て一人で作っている。大人数になってきて凝ったものは作れなくなっていて、カレーや丼、パスタ、パンとスープと卵料理とサラダなど簡単なものばかり。
店で取り扱っている調味料と素材で 1時間ほどで作るのだが、作り続けるのは理由がある。「わざわざ」は継続して事業を営むために健康を大切にしているが、健康には三つの大切な要素がある。食事・運動・睡眠だ。どれが欠けても健康は維持できないと考えていて、お母さんが子どもを思いやるような気持ちでお昼ご飯を作りたいというのが最初の動機だったので、やめたくない。
賄いを作り終わるとみんなにご飯できたよーと呼びかけ、全員集合して盛り付ける。
一人暮らしで食生活が安定しない若い人に野菜を沢山食べさせてあげたいし、こんな食事が健康的だと思うのだけどみんなはどう?という問い掛けもしたい。わざわざの取り扱いの食品を食べてもらうことで、お客様に味を説明できるようになることも少し期待している。
それからスタッフがテーブルを囲んで話をすることで、よいコミュニケーションが生まれ、仕事の潤滑油になると信じている。だから、賄いの時に会話を放棄する人はわざわざには要らない。できるだけ皆と話そうとしてほしいし、その場で個になりたい人は入社させたくない。仕事中は殆ど全員が個になり仕事に取り組むのだから、賄いは和になるべきだと考えている。
ちなみに賄い代は全て会社支給である。行き過ぎた福利厚生になってしまい法的に問題があるため、賄い代を一旦給与として支給し、徴収して所得税を収める方式をとっている。
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