一意専心!大型魚「GT」vs青年【諏訪之瀬島②】

島好き最後の聖地「トカラ列島」のかつてないエッセイ&ガイド『トカラ列島秘境さんぽ』より、島の魅力をお届けする連載。
夜な夜な漁に出た島民たち。トビウオ組がフィーバーを迎える一方、GT組は…?

GTよ、ありがとう!

ところで、防波堤にいるGT組前回参照)はどうしてるのか。トビウオ組と違い、そこは海との高低差が10メートル以上はある。直下に広がる海は流れの速い黒潮ど真ん中だ。カナヅチの私なんぞ、 落ちたら一巻の終わりだ。

あっ、GTが上がったみたい!
チホさんが防波堤の先に向かって走り出した。「誰や?誰が釣ったんや?!」スミコさんもダッシュ。ん?携帯で連絡が着た様子もないのになんでわかるの?
「防波堤の先にいるみんなのヘッドライトが、チラチラと動き出したから」と、チホさん。港は暗すぎてヘッドライトの小さな動きでも遠くから確認できる。私も2人に続く。辿り着いたそこでは、20代の青年が一人、今まさにGTを引き上げようとしている瞬間だった。

手に握る釣り竿はグネ~っとほぼ垂直に曲がった状態。うわッ!うわッ!コレって、むっちゃ大物?!大物を釣り上げるトコロを見たコトがない私の興奮度はMAX!ついつい青年の近くまで寄って眺めてしまう。ググっと全身で踏ん張りまくる青年。足元が防波堤の縁に近づいていってる気もするような。海へ落っこちやしないか?!他の釣人は少し離れたトコロから見守っている。
なんで?『おおきなかぶ』の絵本のように、みんなでひっぱるものではないの?疑問だらけだが、空気があまりにも張り詰めているのでとても聞けやしない。そんな私の「?」を察したのか、チホさんがポソッと教えてくれた。

「一人で釣り上げないと記録にカウントされないんよ」

え?体長2メートルぐらいのGTの魚拓が宿にありましたよね?あれすべて一人で釣ったものなんですか?!青年は相変わらず踏ん張り中。自身の全身が重りのよう。釣り竿の曲がりっぷりも半端ない。あぁっ……竿が折れるか、青年が海に落ちるか。見ているこっちがハラハラする。
しかし騒いではいかんのだ。ひたすら口を貝にして、私も違う意味で踏ん張る。

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トカラ列島 秘境さんぽ

松鳥 むう
西日本出版社
2018-07-26

この連載について

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島好き最後の聖地 トカラ列島秘境さんぽ

松鳥むう

島好きイラストエッセイスト・松鳥むうがおくる、かつてないトカラ列島ガイド&エッセイ! 『島好き最後の聖地 トカラ列島秘境さんぽ』より抜粋し、まだまだ知られていない日本の離島を紹介します。

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