釣人の憧れの聖地へ
「諏訪之瀬島(すわのせじま)って、あれでしょ?ヒッピーの島でしょ?」
諏訪之瀬島の名前を出すと、年配の人からはそう言われる事が多い。けれど、それは60〜70年代頃、けっこう昔の話だ。その時代に移住した人も2組住んでいる。が、彼らが移住してから流れた月日は約40年。もうすっかり島人だ。言われないと正直わからない。
今、諏訪之瀬島と聞いて瞳を輝かすのは、断然「ロウニンアジ(通称、GT)」狙いの釣人だ。5~6月、トカラ列島にはトビウオが産卵のために各島の港の中まで入ってくる。それを追いかけて来るのがGTだ。成魚は体長180センチメートル、体重80キロにもなるという大型魚。それが船で沖に出ずとも港の防波堤で釣れるのは、この時期のトカラ列島ならでは。
しかも、トビウオは港から「釣る」のではなく網で「すくう」のだと言う。金魚すくいならぬ、トビウオすくい!海上をビュンビュンと飛びまくるトビウオをどうやってすくうのか? 見、見たい!そして自分でもすくいたい!思い立ったら吉日。1年に1度だけ運航するレントゲン便に乗って、私は諏訪之瀬島に降り立ったのだった。
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