文学賞で学費を稼ごうと思いつく
前回は子ども時代についてお話しましたが、ここで「総理大臣」になるために、29歳にしてテンプル大学政治学科を目指すところまで戻ります。
新しい目標が定まったのはいいものの、大学に入る学費がない。さて、どうしよう。
学費を稼ぐために思いついたのが、物語を書いて賞金をもらうことでした。ちょうどいい脚本のコンテストがなかったので、500万円の賞金が出る「宝島社ラブストーリー大賞」に小説を応募しようと狙いを定めました。
思い立ったのが応募締切の1カ月。プロットなどをまとめている時間はないと判断して、構成表だけ作り、いきなり書き始めました。フルタイムで介護の仕事をしながら夜に書くのですから、とてもきつかった。しかも大学に入るためのTOEFLの勉強もある。でも、3年ぶりに物語に向き合うのが楽しかった。インドで体験したこと、介護の現場で気付いたことなど、思いのたけを詰め込みました。
完成した後、1度だけざっと推敲して、締切の1時間前に宅急便で受付してもらいました。後から、2次選考員の方に「応募原稿とは思えない、誤字脱字だらけの作品があった」という酷評がありましたが、私のことだと思います。時間がないままの投稿でした。
介護の仕事をやめて初めて気付いたこと
宝島社ラブストーリー大賞の結果は、第1回の冒頭でご紹介した通り。
大賞ではないけれど、応募作『私の結婚に関する予言38』は、「エンタテイメント特別賞」をいただくことができました。子どもの頃はともかく、大人になってから初めて書いた小説でデビューできるなんて、今から思えば、本当に幸運だったと思います。
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