はじめまして! 365日野草生活の『のん』です。
いきなりですが、みなさんは「野草を食べる人」にどんなイメージをもっていますか?
芸能人が野草を食べるという内容で、「ゲー!」と顔をしかめながら食べて「あれ?美味しい!!」というテレビを見たことがあります。
そう、野草を食べるって「ゲー!」って感じなんですよね。
私も何度か言われたことがあります。
でも、野草を知れば、四季折々の野草を食卓に取り入れて季節の恵みを味わうことができます。
食べるだけでなく、たとえばドクダミは殺菌作用を生かして化粧水になるし、野草でホウキを作って家の掃除もできるし、杖を作ったり、染め物をすることもできます。
野草には、あまり知られていないけれど、様々な活用方法があり、それを知ることで日々の暮らしに彩がでます。
そんな私の野草生活について「ゲー!」じゃなくて、「へー!」と思いつつ読んでいただけたら幸いです。
普通のOLが、365日野草生活になったワケ
私は、製造メーカーに勤める会社員。
趣味は特にないし、打ち込んでいるものもない。
映画を鑑賞したり、ネイルをしたり、会社帰りに飲みに行ったり、普通のOLの生活を淡々と過ごしていた4年前の冬。
ふと入ったペットショップで白いうさぎと出会い、まさかの一目惚れ。
ふわふわと柔らかくなびく毛。
まん丸の目。ピンとした耳。ひくひく動く鼻。
小指大の小さな尻尾が嬉しそうに上下に動く。
「天使がここにいる」
1時間後には、その天使は私の腕の中にいた。
片手にすっぽりとおさまる小さなうさぎは羽のように軽く、飛んでいかないようにしっかりと抱いて帰った。
はじめまして!らいおんうさぎの『もぐ』です。
ずっと犬を飼っていたが、うさぎを飼うのは初めて。
うさぎの飼育書を読むと、そこに「うさぎはタンポポが好き」と書いてあった。
※うさぎの主食は牧草です。野草はオヤツ程度に与えます。
野草に詳しくない私でも、タンポポくらいは知っている。
飼い始めてすぐに近くの河原にタンポポを摘みに行った。
河原にはたくさんの植物が生えていたが、タンポポは見つからない。
それもそのはず。タンポポを探しにいったのは1月。
1月のタンポポに花はなく、葉っぱが地面に張り付いている状態だ。
そんなことも知らない私は、宝物探しのように感じて、夢中になってタンポポを探した。
タンポポを摘めなかった河原帰りに思った。
「もっと野草のことが知りたい」
インターネットで野草に詳しい人を探しだし、 メールを送った。
「野草を教えてください」と。
ここから私の365日野草生活が始まった。
昼休みは多摩川へ野草を摘みに
会社の昼休み。
野草弁当をさっと食べ、同僚に「外出してきまーす」と伝えて向かった先は多摩川河川敷。
会社から徒歩2分の多摩川河川敷。
ランチバッグの中には野草摘みの道具が詰まっている。
OLのランチバッグの中身
・お財布
・ハンカチ
・日傘
・ビニール袋
・ハサミ
・軍手
・山刀
・虫よけ
今日の目的は、「シロザ」
夏の美味しい野草で、ホウレンソウの仲間だ。
葉の真ん中が白いから、シロザと呼ばれている。
シロザを摘む季節は夏。6月~8月がちょうど良い。
シロザに限らず野草を摘むときは、生長点に気をつけて摘むようにする。
生長点というのは、細胞分裂を繰り返し・・・なんとかかんとか・・・
難しい話は置いておいて、この生長点を気にせずに摘むと、その植物は子孫を残せなくなる。
私は、シロザに子孫を残してもらって、来年も美味しく食べたいのだ。
葉柄をチョキンチョキン。
シロザの三角形の葉と茎を結ぶ糸のようなものを、葉柄と言う。
柔らかい葉を選び、この葉柄をハサミで切って、使う分だけを持ち帰る。
シロザのキッシュは、ほうれん草以上?
帰宅して早速、摘んできたシロザの下処理をする。
野草はアクが強い、というイメージがあると思う。まさしくその通り。
アクを抜かないと食べられない野草は山ほどある。
野菜は、人間が美味しく、かつ簡単な処理で食べられるように、品種改良を重ね、農家さんが手塩にかけて畑で育てたものだ。
かたや野草。誰も育てていない。栄養も乏しいし、虫はつき放題。
生まれ落ちた場所で、他の野草と競合し、常に生存競争の狭間に立っている。
アスファルトの隙間から生えるものは小さく育ち、広い大地では大きく育ち、その環境によってフレキシブルに形をかえて、したたかに生きている植物たち。
アクが強い。しっかり苦い。かなり酸っぱい。生では毒がある。など・・・
人に食べられるために美味しく進化するという選択肢はかれらには無い。
そのため、野草を食べる前に、丁寧に洗う、茹でる、水にさらすなどの下処理をきちんと行いたい。
シロザの仲間のほうれん草にもアクがある。
ほうれん草を食べて、エグミを感じたり、口の中がキシキシするような感覚を味わったことがある人もいると思う。
これは、ほうれん草に含まれるシュウ酸のしわざで、同じものがシロザにも含まれている。
このキシキシ感は、茹でてあく抜きをすることで解決する。
シロザをおいしく食べるためのあく抜き方法をご紹介したい。
<洗う>
シロザの量は、昼休みの短時間で摘むのでこのくらい。
白い粉はさっと洗っても簡単には落ちない。
シロザはしっかりと洗おう。
この白い粉が気になるなら、地面に近い葉を摘むと良い。
白い粉は若葉には多くついているが、地面に近い葉にはあまりついていない。
特に白い粉を気にしないなら、そのままでも良い(適当でごめんなさい)。
<茹でる>
美味しさの秘訣は、短時間で一気に茹でること。
沸騰した湯に塩を少し入れ、洗ったシロザを投入し、10~20秒くらい茹でる。
<冷水にさらす>
茹でると鮮やかな緑色に。
茹でたシロザは、すぐに冷水にさらす。
粗熱をとることで、茹ですぎを防ぐ。
<水気をきる>
茹でたシロザは緑色が濃く、食欲をそそる色をしている。
シロザを手でギュッと握り、絞るように水気をきる。
<味見をする>
少し味見をする。
ほうれん草よりもしっかりとした歯ごたえが特徴的だ。
味ではなく、茹でた時の香りがほうれん草に似ていると感じた。
今日は、キッシュを作ろう。
私はあまりレシピを見ない。
野菜と似た味、似た香り、似た風味と言っても、野草と野菜は違う。
野草料理を作る前にちょっとだけ素材の味見をしてみよう。野草の味を確かめて、その野草に合いそうな料理を経験と感覚で作るのだ。
シロザのキッシュが完成!
最近の野菜は甘くなっているというが、シロザはギュッと密度の濃い味をしている。
シロザの濃厚な草の味、香り、しっかりとした歯ごたえ。
これが野草を食べる醍醐味である。
ほうれん草ではなく、まぎれもなくシロザの味だ。
※キッシュの美味しい作り方は、料理本やクックパッドなどを参考にしてください。
レシピ大百科「ほうれんそうとベーコンのキッシュ」
※シロザを食べた後に日光に当たると局所的に赤みがでるなど痛みを伴うことがあり、アカザ中毒疹と言います。私が言うのもおかしいが、野草を多食しないように。何事も、度を越してはいけない。
私の365日野草生活
「ゲー!」と思って読み始めた方も、そうでない方も、ここまで読んでくださってありがとうございます。
最終的に「へー!身近においしく食べられるものがあるんだ!」「食べてみたい!」と思っていただけたらあなたも野草生活の仲間入りです。
淡々と日々を過ごしていた普通のOLが野草にハマり、365日野草生活となりました。
植物の学校に通ったわけではないので、専門家ではありません。
図鑑を読んで勉強中です。
平日は月~金、会社の昼休みに野草観察、休日は植物観察会や自然観察会へ参加し、ときどき「多摩川野草会 」を主催する。