共産党の内政面での政策は、どの政党よりも保守的
「Ⅱ」の路線を取る政党が共闘して選挙に勝ち、政権を担うためには、日本共産党の存在を無視することはできません。小選挙区で1対1の勝負に持ち込むためには、共産党との選挙協力が不可欠です。希望の党のもうひとつの失敗は、「共産党と選挙協力をすると左傾化する」と考え、野党共闘を拒絶した点にあります。
しかし、共産党の掲げる政策をじっくりと吟味すると、極めて保守的であることに気づかされます。例えば、新自由主義やグローバル資本主義の暴走に対峙し、「TPP反対」を掲げ、農家や中小企業を守ろうとしています。大企業の過剰な内部留保と利益を中小企業など社会に還元し、家計・内需主導の安定路線を目指しています。共産党の内政面での政策は、どの政党よりも保守的です。
つまり、共産党と組むことで左傾化するのではなく、共産党の政策を取り込むことによってこそ、本来の保守へと接近するという逆説が存在するのです。ここが共産党との関係を構築するうえで重要なポイントとなります。
もちろん、政党間の齟齬は存在します。最大の問題はアメリカとの関係でしょう。共産党は「日米安保条約の廃止」を主張し、「対等平等の日米友好条約」を結んだうえで、日本国内の米軍基地の撤退を訴えます。対米従属を批判する共産党の主張は、本来の保守派の路線と軌を一にしますが、現実的には一気に同盟関係の解消を進めることは難しいでしょう。野党共闘を進めるためには、対米関係についての短期的・中期的・長期的ヴィジョンを調整する必要があります。
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