●カリフォルニアでの入団会見
髪の分け目を少しだけ変えた精悍な顔立ちで、上着を左腕にかけた大谷翔平がレッドカーペットを歩く。193センチの身をわずかにかがめ、白いシャツに濃い目の赤いネクタイ姿の彼は、アメリカ西海岸に広がる空のような爽快な表情を浮かべていた。
空は青く、空気は澄んでいる。薄っすらと伸びる白雲の隙間からはカリフォルニアの日差しが照りつける。気温は三十度を超えていた。
それらすべてが、海をわたってきた若者を祝福しているかのようだった。
「緊張はしましたよ」
本拠地となるロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムのスタジアムで開かれた入団会見を思い出し、大谷は茶目っ気のある笑い顔を見せるのだ。
エンゼルスカラーの真っ赤なユニフォームに初めて袖を通したときはこう思ったという。
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