オーガニックは食を透明化する
イメージよりも噓のない本質的な言葉が求められているのは、広告の世界に限らない。たとえば食の世界でも、イメージではなく、本質的なコミュニケーションが重要になってきている。
取材のために訪れたサンフランシスコでの最大の楽しみは食事だった。
サンフランシスコは全米を代表するオーガニック・ムーブメントの中心であり、オーガニックへの啓蒙的な著作で知られるアリス・ウォーターズが経営する「シェ・パニーズ」のような有名レストランはともかく、たいていのカフェも食材はオーガニックで、そのクオリティには驚くべきものがあった。
by Michigan Municipal League (MML)
このオーガニック・フードの浸透のなかで、もっとも重要視されている概念は「透明性」である。つまり、この野菜はどこの誰が作ったのか、この牛肉はどの牧場から来ているのか、この乳製品はどのように育てられた動物の乳からできているのか、といったような食材の生産・流通の透明性が、人々の関心の中心にあるのだ。
客が高い関心を寄せるのはもちろんのこと、お店の側も、食の透明性を主張し、提示する傾向がある。
これはまさに、食の本質的なコミュニケーションだろう。
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