第9回】「透明」な食べ物たち

中身が求められる流れは、化粧品や広告だけでなく食の世界にも訪れています。そこでは単に「ヘルシーっぽい」というイメージではなく、「透明性」が一つのキーワードとなっていたのです。好評発売中の『中身化する社会』(星海社新書)から、第1章・第2章をcakesで連載していきます。別途掲載の著者・菅付雅信さんのインタビューとご一緒にどうぞ!

オーガニックは食を透明化する

 イメージよりも噓のない本質的な言葉が求められているのは、広告の世界に限らない。たとえば食の世界でも、イメージではなく、本質的なコミュニケーションが重要になってきている。
 取材のために訪れたサンフランシスコでの最大の楽しみは食事だった。
 サンフランシスコは全米を代表するオーガニック・ムーブメントの中心であり、オーガニックへの啓蒙的な著作で知られるアリス・ウォーターズが経営する「シェ・パニーズ」のような有名レストランはともかく、たいていのカフェも食材はオーガニックで、そのクオリティには驚くべきものがあった。


by Michigan Municipal League (MML)

 このオーガニック・フードの浸透のなかで、もっとも重要視されている概念は「透明性」である。つまり、この野菜はどこの誰が作ったのか、この牛肉はどの牧場から来ているのか、この乳製品はどのように育てられた動物の乳からできているのか、といったような食材の生産・流通の透明性が、人々の関心の中心にあるのだ。
 客が高い関心を寄せるのはもちろんのこと、お店の側も、食の透明性を主張し、提示する傾向がある。
 これはまさに、食の本質的なコミュニケーションだろう。

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中身化する社会

菅付雅信

生きるうえで大事なことが、変わりました。ネットの進化、そしてソーシャルメディアの爆発的普及によって、テレビや広告などによるイメージ操作は、ほぼ効かなくなったのです。それは、ウソや誇張はすぐに検証され、バレてしまうため。すべての「中身」...もっと読む

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コメント

tommynovember7 いつも思うのは、等身大の本質に立ち返るといいつつ、メディアという拡声器の効果を必要とするこの矛盾。中身化が本流になるなら拡声器はいらないと思う。 約5年前 replyretweetfavorite