物語を作るきっかけは、映画『グーニーズ』だった!

今や「女性秘匿捜査官・原麻希シリーズ」、「新東京水上警察シリーズ」、「警視庁53教場シリーズ」、「十三階シリーズ」など、警察小説の書き手として注目を集める吉川英梨さん。彼女の異色の経歴から、作家になる秘訣や、好きなことをしながら生きるヒントを読み解きます。今回は、コンプレックスを抱えた少女が「物語」に目覚めるまでのお話です。(企画・聞き書き:アップルシード・エージェンシー

事件捜査ものではない『若草物語』にがっかり

私が生まれたのは、埼玉県の田舎。幼い頃の原風景としては、田舎の自然の中で、河川敷を冒険するかのように遊びまわっている私がいます。そういう活発なところもあったのですが、一方で読書が大好きでした。そんなに裕福な家庭ではなかったのですが、本だったら何でも買ってくれました。

忘れられないのは、子ども向けに要約した名作シリーズの『若草物語』。四姉妹の成長が描かれた物語ですが、ページをめくると四女エイミーが川に落ちる絵が載っていたので、てっきり事件ものだと思っていたんです。ところが、読んだら全然違う。「つまんない」と思って、読むのをやめてしまいました。当時から、やはり事件が好きだったんですよね(笑)この物語の面白さに気付いたのはずっと後のことです。

そういえば、小学校の卒業文集には、「探偵になりたい」と書いたぐらい(笑) ヴァン・ダインやアガサ・クリスティなどの名作ミステリを子ども向けに要約したシリーズなど、夢中で読んでいました。

物語を作るきっかけになった映画『グーニーズ』

1年に1~2回、池袋までハリウッドの大作など、映画を観に行くのも楽しみでした。いつも行けるわけではなかったので、テレビで放送する映画が待ち遠しかった。『スター・ウォーズ』は録画して、毎日観ていました。

本格的に、私を「物語」の世界に引き込むきっかけは、8歳のときに観た『グーニーズ』でした。

ゴルフ場建設のために家の立ち退きを迫られ、仲間(グーニーズ)がバラバラになるのを阻止しようと、少年たちが海賊の秘宝を求め、冒険に繰り出す—という、いたってシンプルなストーリーの娯楽映画らしい作品。

もっとも好きだったのは魅力的なキャラクターたちで、映画館を出た後も、ずっと彼らと一緒にいるような気持で、チケットの半券をいつも大切に持っていました。ボロボロになったら、全面セロテープで補強して、筆箱の中にいれて授業中も眺めていました。

ところが、その半券を没収した先生が口にしたのは

「そんなに大事なの? この紙切れ」

それで、急に現実に引き戻されました。

あんなに好きになった彼らがそばにいない寂しい日々を何年も続けた結果、私はこの寂しさを埋める方法を思いついたのです。それは、私の頭の中で、彼らの新しい物語を作ることでした。

『グーニーズ2』—私の処女作です(笑)

それを皮切りに、自分で冒険アクションやSFなどの物語を書くようになっていきました。寝る前の30分、自分なりの物語を考えてノートに書くのが、何よりも楽しみ。

ただ、小説を書いているというより、頭に浮かぶ映像を言葉で書き留めておく作業、という感じでした。言葉で表現できない場面は、絵にしてごまかしていました。

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十三階の神

吉川 英梨
双葉社
2018-07-18

この連載について

初回を読む
コギャル(?)だった私が、警察小説家になるまで—「好きなこと」を仕事にする道

吉川英梨

宝島社ラブストーリー大賞「エンタテイメント特別賞」を受賞してから10年間、小説家として活躍してきた吉川英梨さん。今や「女性秘匿捜査官・原麻希シリーズ」、「新東京水上警察シリーズ」、「警視庁53教場シリーズ」、「十三階シリーズ」など、女...もっと読む

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