第8回】イメージは検証され、言葉は重みを増す

ソーシャルメディアの台頭によって、個人だけでなく企業も中身で勝負することを求められています。イメージ操作に強い嫌悪感を持つオーディエンスに対して、少しでも誇張した表現をすることは危険です。これからの企業はどのようにアプローチしていけば良いのでしょうか? 好評発売中の『中身化する社会』(星海社新書)から、第1章・第2章をcakesで連載していきます。別途掲載の著者・菅付雅信さんのインタビューとご一緒にどうぞ!

企業はソーシャルメディアでひとつの人格になる

 従来の広告が通用せず、広告の未来が広告ではなくなっていくなかで、広告を打つ側である企業は、どう対応していけばいいのか。
 広告の未来に関してもっとも予見的な発言をしている人のひとりに、元『広告批評』編集長で、現在は「キュレーション」と称する活動を行っている河尻享一氏がいるが、彼は最近ブログで、こう書いていた。
「ソーシャルメディアは企業をひとりの人格にしてしまう」と。
 企業がひとりの人格になるとはどういうことか? ソーシャルメディア時代の広告の行方について、河尻氏から直接話をうかがった。

「企業がひとりの人格になるというのは、背景としてはフェイスブックがそういうことを求めているというのが絶対にあると思うんです。
 フェイスブックがページのフォーマットをリニューアル(2011年2月)しましたよね。もともとフェイスブックの企業ページは、「景品をやるから『いいね!』を押せ」とか「面白いアプリをやらせるから『いいね!』を押せ」みたいなデザインになっていたわけですが、それがリニューアル後はかなりやりづらくなっている。
 つまり、フェイスブックは企業に対して、中身で勝負しろと言っているわけです。
 加えて、フェイスブックの企業のページは出現率(調査対象やアンケートモニターのなかに目的となる対象者・回答者がどのくらい含まれるかを示す比率)が低いから、そんなに多くの人に見てもらえるわけじゃない。だから、『それを補いたいなら広告を出せ』と変えてしまった。
 それで、広告出稿を効果的に使えればいいのかもしれないですけど、基本はそのコンテンツの中身勝負になるわけですよ。
 本当にちゃんとネタが厳選されているかとか、読んで面白いかとか、シェアしたくなるかということが、企業ページでも大事になる。
 そのフェイスブックのページをメディアと考えると、良いメディアは絶対に人格が出ますよね。良い雑誌は、編集長のキャラが見えるでしょう? 
 だから、フェイスブックにおける企業の優れたページも、ひとりの優れた人格がまとめあげるものになるはずなんです。
 ソーシャルメディアはひとりひとりのユーザーとの、上下関係のないフラットな世界だから、そういうふうにコミュニケーションしていかないと場が荒れると思うんですよ。
 マーク・ザッカーバーグの思想は、そういう関係性をもろに出していっている気がするんです。
 一時期、JALのフェイスブックページが好評だったんですよ。当時、JALは民事再生法の適用会社になっていたから、広告も思うように打てない。だからどうしたかというと、JALで働いている人の真摯なメッセージをフェイスブックで送り続けたんです。
 つまり、メディア的な上の立場から『どうだこの情報くらえ』みたいな感じじゃなくて、身の丈から思うことを言わなきゃいけなくなった。
 そうしたらやっぱり受けるわけです。社会的には破綻したと騒がれているけど、意外とJALはいい人たちなんじゃないかと言われるようになって、ファンがすごく増えたんです。
 でもそれは、そうせざるを得なかったからそうなったわけで」

 では、企業はどのような「人格」を、ソーシャルメディア上で持つべきなのだろうか? 続けて聞いてみた。

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中身化する社会

菅付雅信

生きるうえで大事なことが、変わりました。ネットの進化、そしてソーシャルメディアの爆発的普及によって、テレビや広告などによるイメージ操作は、ほぼ効かなくなったのです。それは、ウソや誇張はすぐに検証され、バレてしまうため。すべての「中身」...もっと読む

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