若槻千夏がバラエティーの作法を指南する感じ

バラエティタレントとして絶頂期にテレビ出演を全てやめ、アパレルブランドやキャラクタービジネスなどの実業家に転身、そして近年またテレビに復帰した若槻千夏。気の利いたコメントを即座に返す反射神経は健在で、あっという間に引っ張りだこの存在に。しかし以前とは少し違う印象を与える彼女。その違和感を武田砂鉄さんが考察します。

きゃりーぱみゅぱみゅ「無印良品」発言

『アナザースカイ』を観ていたら、きゃりーぱみゅぱみゅが「本当は無印良品みたいな家が一番落ち着く」と言っていて、彼女の世界観をあれこれ真似てきたファンは、突如インテリア一式を買い替える必要性に迫られているのではないかと心配になる。小倉優子が、こりん星っていうのはあくまでも設定で、と今さら認めるのとは規模が違う。

時間をかけて築き上げてきたイメージを「実は」「本当は」と切り崩すのは、それが特定の方面のカリスマであればあるほど、慎重な作業なのだと思う。トーク番組に大物芸能人が出てきて、「コンビニとか行くんですか?」「えっ、行きますよ!」「うそー、○○さん、コンビニ行くんですか!」という不毛なやり取りを見せられることがあるが、突出した個性が集う芸能界、「違い」の見せ方はそれぞれでも、「違わなさ」の見せ方に大したパターンはない。きゃりーの無印良品発言は「違わなさ」として相当な落差を見せつけたが、その落差はすなわち、違うところにいるという、カリスマであることの証左にもなるのだろう。

「ほしのあきちゃんかリアディゾンになっていないことを願い」

当初のイメージを覆したいのは俳優やミュージシャンに限った話ではなく、会社員でも主婦でも学生でも一緒で、「いや、実は、もう、あっちではなく、こっちなんですよ」というPRを続け、「へー、そうなんだ」を獲得し続ける日々だ。SNSで有名な人の投稿を見ていると、同意を促すだけではなく、意外性を出すことを心掛けており、「いつも通り」と「新たな一面」のベストミックスで前進していく。その反復には、さぞかし大変な苦労があるのだろう。意外性を定期的に創出するというのは、もはや意外ではない。様々な情報を取得して、行動に移し、自分の中で「意外化」させなければならないのである。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

tommysoya [繰り返し「こうきたらこうでしょ」を見ていると、そうか、もはや、「こうきてもそっちにはいかない」とか「こうきたらこうするとみせかけて何もし… https://t.co/R8kDXWH6MB 12ヶ月前 replyretweetfavorite

tosacarte 読み応えあるなあ。私が好きなタレント(タレントらしいタレントとして)の話だから感想にバイアスがかかっているかもしれないが。 https://t.co/WMJU7ijvkB 12ヶ月前 replyretweetfavorite