きゃりーぱみゅぱみゅ「無印良品」発言
『アナザースカイ』を観ていたら、きゃりーぱみゅぱみゅが「本当は無印良品みたいな家が一番落ち着く」と言っていて、彼女の世界観をあれこれ真似てきたファンは、突如インテリア一式を買い替える必要性に迫られているのではないかと心配になる。小倉優子が、こりん星っていうのはあくまでも設定で、と今さら認めるのとは規模が違う。
時間をかけて築き上げてきたイメージを「実は」「本当は」と切り崩すのは、それが特定の方面のカリスマであればあるほど、慎重な作業なのだと思う。トーク番組に大物芸能人が出てきて、「コンビニとか行くんですか?」「えっ、行きますよ!」「うそー、○○さん、コンビニ行くんですか!」という不毛なやり取りを見せられることがあるが、突出した個性が集う芸能界、「違い」の見せ方はそれぞれでも、「違わなさ」の見せ方に大したパターンはない。きゃりーの無印良品発言は「違わなさ」として相当な落差を見せつけたが、その落差はすなわち、違うところにいるという、カリスマであることの証左にもなるのだろう。
「ほしのあきちゃんかリアディゾンになっていないことを願い」
当初のイメージを覆したいのは俳優やミュージシャンに限った話ではなく、会社員でも主婦でも学生でも一緒で、「いや、実は、もう、あっちではなく、こっちなんですよ」というPRを続け、「へー、そうなんだ」を獲得し続ける日々だ。SNSで有名な人の投稿を見ていると、同意を促すだけではなく、意外性を出すことを心掛けており、「いつも通り」と「新たな一面」のベストミックスで前進していく。その反復には、さぞかし大変な苦労があるのだろう。意外性を定期的に創出するというのは、もはや意外ではない。様々な情報を取得して、行動に移し、自分の中で「意外化」させなければならないのである。
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