リベラルの対立軸はパターナル。リベラル保守による現実主義

2018年7月20日、立憲民主党・枝野幸男代表による内閣不信任案趣旨説明演説は、その内容、格調の高さから憲政史に残る名演説と、大きな話題と共感を呼びました。枝野演説の真髄といえる保守、立憲主義とは。政治思想家・中島岳志の新刊『保守と立憲』より「保守と立憲――不完全な私たち」「リベラルな現実主義――対談・枝野幸男」の2章を緊急配信。政治の見取り図を整理し、リベラル保守による現実主義について考えます。

政治の見取り図

 さて、ここで現在の政治を整理してみたいと思います。下の図を見て下さい。

 政治(特に内政)は、大きく分けてふたつの仕事を担っています。ひとつは「お金」をめぐる仕事。もうひとつは「価値」をめぐる仕事です。

「お金」をめぐる仕事のあり方については、「リスクの個人化」と「リスクの社会化」というふたつに方向性が分かれます。人間は、生きている限り様々なリスクにさらされ続けます。明日、突然難病を発症するかもしれず、またいつ交通事故に遭ってこれまで通りの生活ができなくなるかもしれません。

 このようなリスクに対して、「リスクの個人化」路線は、「自己責任」を突きつけます。政府は税金をあまり多く取らない代わりに、福祉などのサービスを手厚くはしません。あくまでもリスクに対しては個人で対応することを要求します。いわゆる「小さな政府」というあり方です。

 一方、「リスクの社会化」路線は、「セーフティネットの強化」を打ち出します。個人に降りかかるリスクに対して、できるだけ社会全体で対応することを目指し、福祉などのサービスを充実させます。民間のNPO活動や寄付なども活発化させ、人々が窮地に陥らないようにケアし合います。この路線は、税金は高くなるけれども、サービスが充実するという「大きな政府」というあり方につながります。

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この連載について

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保守と立憲 世界によって私が変えられないために

中島岳志

2018年7月20日、第196回国会の実質的な最終日、立憲民主党・枝野幸男代表によって行われた内閣不信任案趣旨説明演説は、その内容、格調の高さから憲政史に残る名演説と、大きな話題と共感を呼んだ。枝野演説の真髄といえる保守とは、立憲主義...もっと読む

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コメント

kouji2000chan 成程です。 思っていたのと若干異なっていた点もあり、勉強になります。 https://t.co/YGS0rclTJr 石破さんはこの図でいうと自民党保守本流に近いということになりますか。 https://t.co/DAZQWLGtBb 3ヶ月前 replyretweetfavorite

power_growing @hanafudasugar 右翼・左翼で分類するよりも、このマトリックスで考えた方がしっくりいく。俺は宏池会の位置かな。 https://t.co/cczBi9kPu6 https://t.co/WUyjKUWRNS 4ヶ月前 replyretweetfavorite

suck629it はいこれ枝野さんの「リベラルと保守の対立はおかしい」って話。 リベラル(自由主義)の反対はパターナル(父権主義)だよ。 https://t.co/XHplO9LfT7 11ヶ月前 replyretweetfavorite

lautream ていうか、この図は中島岳志のを改変?したものか。全然違うけど。 https://t.co/IIvgrRm0hm https://t.co/ueHtBMpn1Z 1年以上前 replyretweetfavorite