第3回】ラグジュアリーの魔法はもう効かない

ファッション支出が激減し、ブランド名を重視する傾向がなくなってきたという昨今。かつてファッションはその人を表現するインスタントな言語でしたが、今ではソーシャルメディアが代わりを担っています。中身化していく社会の中で、これからファッションはどうなっていくのでしょうか? 好評発売中の『中身化する社会』(星海社新書)から、第1章・第2章をcakesで連載していきます。別途掲載の著者・菅付雅信さんのインタビューとご一緒にどうぞ!

ファッションはインスタントな言語ではなくなった

「モードは言語活動である」とは、フランスの記号論の第一人者、ロラン・バルトの有名な言葉だ。
 かつてファッションは、とても効果的でスピーディーな「言語」だった。
 プラダのデザイナー、ミウチャ・プラダもこう語っている。
「あなたが何を着ているかが、あなた自身の世界へのプレゼンテーション。特に今日は、人々のコンタクトがすごく速くなっている。ファッションはインスタントな言語です」(2007年1月18日 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事より)
 また、フランスの思想家、ジャン・ボードリヤールは、かつてこう表現していた。
「消費はコミュニケーションと交換のシステムとして、絶えず発せられ受け取られ再生される記号のコードとして、つまり言語活動として定義される」(ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』今村仁司・塚原史訳 紀伊國屋書店 1979年)
 まさしくファッションの消費こそ、もっとも可視化しやすいコミュニケーションの方法であり、自分の記号化でもあったのだ。
 しかし、ファッション以上に速い言語を、すでに人々が持ち始めているとしたら、どうだろう? いまやソーシャルメディアでの情報発信の方が、ファッション以上に速い言語となっている。

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中身化する社会

菅付雅信

生きるうえで大事なことが、変わりました。ネットの進化、そしてソーシャルメディアの爆発的普及によって、テレビや広告などによるイメージ操作は、ほぼ効かなくなったのです。それは、ウソや誇張はすぐに検証され、バレてしまうため。すべての「中身」...もっと読む

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コメント

kate_mori 薄々感じてたけど、ラグジュアリーって言葉はもはや死語だね。面白い記事。https://t.co/XgVLLuMrNU 3年弱前 replyretweetfavorite

tommynovember7 この世界観には強く共感するけど、現時点でそれは世界の一部であり、主流になってほしいという願望とは区別が必要ということ。自戒をこめて。 約5年前 replyretweetfavorite