陣痛、それは険しい

父親になるってどういうこと? ググっても答えが出ないから自分で書いてみた。ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)によるはじめての子育て実況連載、第3回。生まれてきそうで生まれてこない新しい命、勢力を強める陣痛にしばかれる母、そしてその間で立ち往生するばかりの父は……。

入院初日の面会後、じめっとした晩春をペタペタ歩きながら自分が考えていたのは生活の変化だった。それも、誕生の喜びというよりも“今の生活が終了する”ことのほう。陣痛直後は「ようこそ生命!」と大興奮だったが、もう少し時間がかかりそうだとわかってからはどんどん冷静に我が身を振り返るようになる。そして、改めて誕生によって男女2人猫1匹で暮らしてきた東京の模範的カルチャーライフの終わりが近いことに気づき、卒業の切なさを噛み締めた。

とはいえ、自分たちの分身が爆誕する前夜であることにすさまじい興奮も継続して押し寄せてくる。これから何が起こるか、想像もつかないけれど、とてつもない、何かは、確実に来る! 新学期とかニューアルバムとかってものじゃなくて、いきものが来る! しかも来て、その上で自分の人生や生活にずっと付帯する! しかもその納品がいつかは現状未定とのこと! ウソでしょ書を捨てよ外へ出ようよ新生児!

息苦しいくらい感情が大揺れして、それでもやることは待機のみ。あまりにしんどいものだから病院を出てから景気良くなりたくて「アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー」を観る(口頭で許可を取ったが妻の日記上では当然ディスられてた)。でも作中で登場人物のねじれた親子関係が映し出されれば「絆ってそういうのちゃう…!」とそわそわし、別のキャラが死ねば「親御さんはさぞかし…」と気が気じゃなかった。そして家に帰っても「寝てるうちに生まれる可能性が…?!」と落ち着かず、猫を膝に乗せてスプラトゥーンを深夜までプレイした。ソファで目覚めて早朝。数時間おきに届いていたLINE、どんな痛みが来ていたかの記録。不真面目で本当に申し訳ない。まだリリースは遠いらしい。

陣痛をこじらせてから丸1日。ふたたび見舞いに行って病室のカーテンを開けた先にいた妻は、予想以上に参っていた。前夜に6、7分おきだった陣痛は明け方5分おきに縮まり、さらに4時間おきに90分の点滴交換&モニタ定期観察イベまで発生するのだという。眠ることを許されない状況で強くなる痛みとプレッシャー、彼女はすっかり疲労困憊してしまっていた。「文学フリマで買ったZINEを持ってきて」と言われていたが、読むどころじゃないそう。Blu-rayなら楽しめるねと「High&Low」を持っていったが、プレーヤーがDVDしか再生できないことが病院で発覚してオウフ……という具合。

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こうしておれは父になる(のか)

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「今にこの子は「パパ」としゃべるだろう。そのとき自分は、何としてきみを抱きしめたらよいか、再び考えてみよう」――ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)がはじめての子育てを実況! 父親目線で見...もっと読む

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コメント

neokleinian 産みの苦しみを傍観しているだけなのも、もどかしく、ツライ…という出産立会鉄板な感情は、心理療法の現場でもあるあるだと思う… 約1年前 replyretweetfavorite

biftech #おれ父 育児実況と言いつつ3話でまだ産まれてないわけだけど、人生は長い一本道だからな。 #出産レポ |本人 @biftech |こうしておれは父になる(のか) https://t.co/0G80qmoTre 約1年前 replyretweetfavorite

moi_iommoi_iom 「キャラが死ねば「親御さんはさぞかし…」と気が気じゃなかった」 なんかわかるなぁ。 約1年前 replyretweetfavorite

hase0831 わかる “「先にリリースした同部屋の人の夫がカーテン越しにバースト撮影したりうるさかったりしてマジしんどい」” 約1年前 replyretweetfavorite