食事の時、無意識に噛んで食べてはいけない

前回連載に引き続き、アスリートの栄養指導を行っている「食べ方」の専門家、石川三知氏にビジネスパーソンの健康維持・増進のための「食べ方」の極意について伺った。

【食べ方の極意2】
意識的に30回噛んで食べよう—咀嚼は唯一意識的にできる消化活動

・多くの人が「無意識に噛んで」いる—咀嚼筋は随意筋

ベスト・パフォーマンスを実現できる食べ方の極意の二つ目は「よく噛むこと」。よく言われることだが、石川氏は「咀嚼は意識的にできる活動なのに、多くの人が無意識のうちに噛んでいる、これが問題です」と指摘する。 筋肉には、随意筋と不随意筋がある。たとえば心臓の筋肉は自分の意思では動かせない不随意筋だが、手足の筋肉は自分の意思で動かせる随意筋である。ものを噛むときの咀嚼筋も、随意筋だ。それなのに、「多くの人が、あたかも不随意筋であるかのように、ものを噛んでいる」というのが石川氏の問題意識なのだ。

「咀嚼で唾液が十分に分泌されることによって、その他の消化液(胃液やすい液)や胆汁が分泌されます。咀嚼は消化吸収システムにスイッチを入れる役割をもっているのです。内臓の機能は、ほとんどが無意識的に行われます。消化器官を鍛えようにも、胃や腸を意識的にトレーニングすることはできません。 そんななか、咀嚼だけが、意図的に消化機能を鍛えることにつながるのです。意識的に30回噛んで食べるように心がけましょう」「何を食べるかを気にする人は多いのですが、どんなに体にいいものを食べても、それが体内でしっかり消化吸収され、エネルギーや血肉にならなくては意味がありません。何を食べるかだけでなく、どう食べるかも非常に重要と言っていいでしょう」

私たちは食べ物の栄養素にばかり目をとらわれがちだ。しかし、体にいいものを食べることが奏功するのは、食べ物をきちんと利用できるように消化されてこそである。そのために唯一、意識的にできることが「よく噛む」ことなのである。

【食べ方の極意3】 主食、主菜、副菜は1:1:2の割合を目安に—「野菜を2倍食べる」ことを心がける

・主食と主菜を減らすより、野菜を増やすことを意識しよう

「玄米は、土に蒔まくと芽が出ます。でも精製した白米は、土に蒔いても何も起こりません。これが何を意味するか、わかりますか?玄米には育つだけのエネルギーが整っているけれど、白米にはありません。それは玄米を覆っている表皮に含まれるビタミン、ミネラルを丸ごと落としたものが、白米だからです」

白米より玄米のほうがいいという話は、よく耳にする。その理由として、重要な栄養素が失われてしまうことを石川氏は指摘する。

「白米だけでなく小麦粉もそうですが、穀物を精製して食べるのは、ある意味、おいしく食べるための人類の知恵です。ただ、今も言ったように精製した穀物は、本来の栄養素がほとんど失われてしまっています。カロリーだけはあるので、『エンプティカロリー』とも呼ばれます」

「エンプティカロリー」とは、カロリーがない(エンプティ)ということではなく、カロリーはあるのに、栄養素が空っぽ(エンプティ)という意味である。「ですから、精製した穀類を食べるには、本来含まれていたビタミン、ミネラルを、別のもので補わなくてはなりません。その最大の補給源が、野菜なのです。海藻やきのこ類、さらにはナッツやゴマなどの種実類も同様です」

ここで「主食、主菜、副菜を1:1:2の割合で食べる」につながった。精製した穀類では補えない分まで栄養をしっかりとるために、海藻やきのこ類も含む野菜や種実類をたくさん食べる必要があるのだ。 これは、かの髙橋大輔氏の選手時代に、経験則的に編み出した割合だという。

「フィギュアスケートは、練習中の心拍数が高くなる割合の多い競技です。そのため、脂肪燃焼がしにくいタイプのスポーツです。おまけに氷の上で冷えやすいという競技環境も、太りやすさにつながります。 髙橋さんは、もともと脂肪がつきやすい食事が好きだったこともあり、出会ったころはやや脂肪がついていたのですが、食事の内容の変化に伴い、『しっかり食べているのに、体が絞れてきた』と言っていました」

もちろん、髙橋大輔氏に効果があったからといって、すべての人に有効とは限らないだろう。またその最適な割合も人それぞれなのだろうが、副菜を中心にとることの重要性については、多くの人にあてはまるのだ。

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