左から、前野健太、文月悠光、司会の北沢夏音
過去の記憶を一つひとつ供養して生まれる作品
文月 前野さんが『百年後』の中の「ただの風」という文章で、「自分に愛はないと思う。恋は美しい。純粋に、人と人が惹かれ合って、くっついて、離れる。肉が、千切れる」と書かれていました。
前野 書いてました? まあまあ、良いですね(笑)。でも……まあまあ、だな。僕は愛情とか薄いですもん。
文月 愛情が薄かったら、そもそも歌にしないんじゃないですか。透明のペンでクレジットを書かなきゃいけない相手に対して、愛情がなければ歌はつくれないと思うんですけど。
前野 それ、俺が死んでから言ってください。あいつは実は、愛情があったということにして(笑)。歌の中に出てくる登場人物たちの、その情景さえ輝いていればいいなと思っているから。
文月 歌にすると、その人との関係性や恋愛が良いものとして書き換えられたりしませんか?
前野 はい、もちろんしますよ。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。