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ポートレートの「理想の顔」

写真家・ワタナベアニさんによるポートレート連載。ワタナベアニさんが撮影するとき、その被写体となる人物には「理想の顔」があるそうです。それは一体どのような顔なんでしょうか。

ワタナベアニです。俺が撮る写真の人物は、大きなアクションをしていません。場合によってはダブルピースなんかをされることもあるんですが、シャッターは押しません。自分が理想とする被写体は「記念写真用のダブルピースをしたり、大げさな笑顔などをしていない」と決めているからです。

ではどう写っているのが理想か、と聞かれたら「その人の家族が認識している顔」と答えます。初対面のモデルが家族と自然に話しているときは、たぶんこんな表情なんだろうなと思って撮る。あとで「母親が、あなたらしく写っている写真だと言っていました」などという感想をもらうとうれしいです。その人のことを一番よく知っている人からホメられることには価値がありますからね。

写真は主題が複数含まれる場合があって、たとえば旅行先のお城をバックに撮るときは、「城と自分」というふたつの主役がある。これが記念写真です。逆に、背景に説明の要素がなくなるほど肖像写真に近くなるので、その究極として俺は黒バックを使っています。写真に写る情報をどんどん減らしていくとモデルの存在感だけが見えてきて、無駄な演技や表情は不要になります。

ある映画監督が「上手な俳優は、ただそこに立っているだけで絵になる」と言っていました。そういうことなんでしょうね。

Kikkaさん。こちらが想定していた貧弱な物語を、高度に表現してくれる人。

Paris。撮影中ではなく、準備している間にどんな表情をする人か観察しておく。

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ワタナベアニ

写真家・ワタナベアニさん。年中無休、四六時中、カメラのシャッターを切り続けています。この連載ではそんなワタナベアニさんのライフワークともいえる、ポートレート写真を掲載していきます。レンズのむこう側で写真家は何を思っているのか、その様子...もっと読む

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コメント

_necoze_ ではどう写っているのが理想か、と聞かれたら「その人の家族が認識している顔」と答えます。初対面のモデルが家族と自然に話しているときは、たぶんこんな表情なんだろうなと思って撮る。 https://t.co/SMglUJY84t 約1年前 replyretweetfavorite

sadaaki アニさんは打ち合わせの終わりとかに、そこにいたひとをさっと撮るんだけど、それがみんなこんな感じに写るから、ほんとにすごいと思います。 約1年前 replyretweetfavorite

watanabeani cakesの連載、更新されました。 https://t.co/6ovxgSKMa6 約1年前 replyretweetfavorite