夏には奔放になる、というのは昔の話

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。今回は猛暑で外に出ることが億劫だからこそおすすめしたい、インドアな過ごし方について。森さんが海外のホテルで初めて体験したこととは?

「誰かと会ったり話すのが面倒なので、頭で恋しています」

「猛暑だし、セックスすると汗をかくので、自分以外の肉体は要らないです」

という人が増えているように思う。昨今の異常な暑さでは、それも当然かもしれない。

今それをやると間違いなく熱中症で倒れる

昔々、夏休みに毎朝ラジオ体操に勤しんでいた自分は、脅威に値する。昭和生まれの方なら馴染みがあるだろうが、小学生は夏休みになると近所の公園や空き地に集合し、ラジオ体操するのが慣わしだった。今、それをやると間違いなく、何人かが熱中症で倒れるだろう。

猛暑の中、プールや海に出かける人々を私は本気で尊敬する。低血圧で紫外線アレルギーの私にとって、35~40度の野外に長時間さらされるのは自殺行為なのだ。

以前、子持ちの友人が「子供が絵日記を書くから、それ相当の観光地に連れて行かなきゃなの」とぼやいていたが、やむを得ない事情だとしても実行に移す彼女に、私は羨望のまなざしを向けた。ちなみに子供にとってそれ相当の観光地というのは、伊豆や熱海や軽井沢(たとえ星野リゾートに泊まろうとも)ではダメで、北海道や沖縄、ともすれば海外(しかもアジア圏以外)でなければならないという。「もうさ、ハワイだよ、とかいってスパリゾートハワイアンズに行くとか」と案を出してみたが、勿論冷たい目でスルーされた。

私達大人は、妄想にお金を使うことができる。自宅にいながらVRでハワイを楽しむことだって可能だ。クーラーをガンガンきかせてハワイを嗜む。ロコモコやスパムむすびやマラサダをデリバリーし、ついでにイケメンの出張マッサージ師なんかも依頼したりして。レッツ自宅リゾート化、レッツ脳内恋愛。日本から春と秋が消えつつある昨今、これはすでに流行りはじめている。たぶん。

セブ島のホテルで初めての体験

数年前、母と叔母と私の3人でセブ島に旅行したのだが、あいにく台風が直撃してしまい、ほとんど観光ができなかった。母と叔母は何度もセブ島に来ていたが、初めてだった私は落胆し、ホテルで満喫できるリゾートを考え抜き、初めて「出張マッサージ」を体験したのだ。

滞在型ホテルに宿泊していたので、メイドや通訳が付き、リビングダイニングの他に広々した部屋数が4つ、バスルームとトイレが2つずつ、ベッドはクイーンサイズ、勿論プライベートプール付き、という即席なセレブぶりだった。で、調子にのって現地の「男性マッサージ師」を呼んでみたのである。

日本でオイルマッサージは経験済みだが、女性セラピストオンリーだった。海外ということで、私のタガが外れたのか男性をチョイスしてみたのだ。ええ、当然、母と叔母が買い物に行っている時間をねらってのこと。ふたりには「女性マッサージ師を指定した」と伝えた。アラフィフの私だが、母や叔母の前ではうぶな子供のふりをしたいのである。そんなわけで私は異国の地でたっぷり2時間、見知らぬ男性と裸で過ごしたのだ。

そっと触れ合うだけでもいい
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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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