客観は正しく、主観は間違っている?
熊野 東日本大震災後に開いた株主総会で、定款変更を株主の皆さんにお願いしたんです。それは、「アミタグループは、自然資本と人間関係資本の増加に資する事業のみをやります」という事項をいれてもらうという変更でした。これで、「公開企業として、なぜ利益をあげないんだ」と機関投資家に詰め寄られても、「いや、定款通りやっています。利益が出るまでには時間がかかるので、許してください」と、堂々と言えるようになりました(笑)。
藤野 この「Our Mission Ⅱ」にも、そのことがしっかりと記載されていますね。「Ⅱ」ということは、これはセカンドバージョンなんですか?
熊野 そうです。それまでのミッションは、静的な状況を表現しているというか、客観的だったんですよ。それが震災を機に、客観的に良いことを目標とするような中途半端なことではいかんと。目標を立てる以上は「Do it」、行動するんだ、というものに変えました。
藤野 私も、主観的な判断をもっと尊ぶべきだと感じています。最近、客観は正しく、主観は歪曲されているというような見方が強すぎると思っているんです。企業は、それぞれ主観的な判断をし、主観的なメッセージを出し、それを主観的な投資家たちが主観的に判断する。その主観の強烈なせめぎあいから、初めて客観が出てくる。その客観は、もはや「真理」ともいうべきものになるでしょうね。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。