「理にかなったもの」を「情報編集する」ことで、廃棄物を資源に変える
藤野 熊野会長は、ずっとお会いしたいと思っていた経営者の一人です。今日はとても楽しみにしてきました。
熊野 いやあ、ずっと環境の事業をやってきたらもう老舗になってしまって。ホコリをかぶってきよるんですけど(笑)。でもやっと、我々の本質を理解してくださる人が増えてきた気がしますね。
藤野 37年前から環境資源のビジネスをやってこられて、最初はあまり理解が得られなかったのではないでしょうか。
熊野 創業当時の環境市場は、焼却炉で廃棄物を処理する「処理屋さん」と、大気汚染や水質汚染を防ぐ「プラント屋さん」しかいませんでした。リサイクルといえば、ビンはビン、紙は紙、鉄は鉄と分別して回収する、いわゆる「スクラップ屋さん」しかいなかったんです。我々みたいに、資源の知識を駆使して、まだ使えるものを再利用するという視点はなかった。例えば、その当時、大手の洋菓子製造会社では、卵の殻が50トン、100トンと廃棄されていたんです。これをなんとかしようと、分析してみました。すると、炭酸カルシウムが94~95%ほど含まれている。炭酸カルシウムがそれほど含まれているのは、日本最大規模の鍾乳洞、秋芳洞で採れる石灰石と同品質なんですよ。そこで、石灰石を大量に使用するセメント会社に、「炭酸カルシウムが95%ほど含まれている、高品質な石灰石的なものを買い取りませんか」と持ちかけるわけです。ここがみそですね(笑)。向こうがそんなに高品質なら使いたい、と言ったところで卵の殻を見せる。そうすると、「卵の殻じゃないか」と思いつつも、「高品質の石灰石のようなもの」という印象が刷り込まれているので、何とかして使おうという気になる。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。