中国で国民的ブームのザリガニ料理を自作してみた話

「野食」とは野外で採取してきた野生の食材を食卓に活用すること。日々、美味しい食材を求めて南へ北へ。野食ハンターの茸本朗さんが今回チャレンジしたのは、みんなおなじみの「ザリガニ」。なんでもお隣中国では大ブームで、KFCやマクドナルドを超える数のザリガニ専門店があるのだとか。今回、茸本さんは中国で人気のザリガニ料理「麻辣小龍蝦」にトライしてみました。さて、そのお味は?


少年時代を思い出す

ワールドカップ・ロシア大会が終了してから早くもひと月が経とうとしています。ご存知の通り、我らが日本代表は期待を上回る躍進を見せ、未来に希望を持てる形で大会を終えました。来年に控えるアジアカップや、その後に始まる次回カタール大会の予選なども、今から楽しみでいっぱいです。もちろん、その中でぼくの愛する川崎フロンターレの選手たちが活躍してくれれば、これ以上の喜びはありません。

さて、そんなわけで日本国内でも大きな盛り上がりを見せていたサッカーですが、大会期間中の熱気は、隣国・中国には敵わなかったようです。

自国の代表チームが出場していないにもかかわらず、4万枚のチケットが中国人向けに発売され、国内観戦を楽しむ人たちも大変多く、まさに国家的な盛り上がりを見せていたとのこと。

そして、そんな彼らがサッカー観戦のおともに食べる料理では、とある意外な食材が大人気なのだそうです。
それは、ザリガニ


誰もが知る生物だけど……

ザリガニは中国では「夜食界の人気者」と呼ばれ、もともと人気のある食材ですが、ワールドカップ期間中は北京でその消費量が倍増したといいます。

養殖も盛んに行なわれており、生体も簡単に購入できるとのこと。そういえば、アメ横にあるアジアンマーケットでも、最近生きたアメリカザリガニが大量に販売されています。どこの国の人向けかと疑問に思っていましたが、中国だったのですね。


当地でのザリガニ料理は、スパイスを効かせた四川風の料理が人気だそう。とくに「麻辣小龍蝦(マーラーシャオロンシア)」という炒め煮が大人気で、レシピサイトでも上位を独占しているようです。

そこまでたくさん消費されるほどに美味しいとは、もしかしてザリガニの種類が異なるのかなと思って調べてみましたが、どうやら中国のザリガニは、日本にたくさんいるアメリカザリガニと同じもののようです。
となればもう、自分で作ってその美味しさを確かめてみるしかありません。


アメリカザリガニを採りに行こう

アメリカザリガニは現在、日本で最もなじみのある外来生物のひとつ。昭和の初めに、ウシガエルの餌としてアメリカから移入されたものが逃げ出したり、あるいは故意に放流されるなどして広がり、今や日本中に棲息しています。
街中のドブ川やちょっとした溝、溜池、お堀など、水があるところならどこにでも生息しているという印象を受けます。子供のハンティングの相手としても人気がありますね。小さい頃に採ったことがあるという読者の方も多いのではないでしょうか。

ただ今回は食用ということもあり、汚染が気になる場所では採りたくありません。
そこで選んだのは


稲穂がきれいな時期ですね

田んぼの脇の用水路。一見すると淀んだ汚い水のように見えますが、田んぼに引かれる水は重金属などによる汚染を受けておらず、そこで採れたものも食用にするには問題がありません。
覗いてみると、たくさんのザリガニが水底をはい回っているのが見えます。

採り方ですが、ザリガニは意外と素早く、特に大きな個体となればタモ網で追いかけ回してもなかなか捕まえることができません。
ここはやはり王道と言える「釣り」で捕まえるのが一番手っ取り早いでしょう。

釣りと言っても特殊な道具は必要なく、適当な長さの棒に同じぐらいの長さのタコ糸を結び、その先にサキイカをくくりつけるだけでOK。 餌を咥えさせるわけではないので針は必要ありません。


棒も糸も何でもよい

ザリガニの目の前にサキイカを落とすと、多くの場合すぐに飛びついてきます。大きな個体であれば、そのまま自分の巣穴まで引きずって持ち帰ろうとします。ある程度そのままにしておき、ザリガニが完全に夢中になったところで、ゆっくりと引き上げると、水面まで上がってきます。
そこを後ろからそっとタモ網ですくってあげれば、一丁上がり。


もっとも原始的な釣り?

意地汚い個体であれば、そのまま空中に持ち上げてしまうことすらできます。とはいえ、大きければ大きいほど警戒心も強く、網に入れる寸前でさっと逃げてしまうことも。この辺りの駆け引きやドキドキ感が、子供だけでなく大人も夢中にさせます。
時に、強烈に赤くハサミの強大な怪物のような個体が釣れます。人間でも指を挟まれると泣きたくなるほどに痛く、気をつける必要がありますが、それでもめちゃめちゃ嬉しいです。
嬉しすぎてつい出川哲朗ばりの鼻ザリガニをやってしまいそうですが、あれは本格的に後悔することになるのでやらない方が無難です。(涙と血が出ます)

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野食ハンターの七転八倒日記

茸本朗

「野食」とは、野外で採取してきた食材を普段の食卓に活用する活動のこと。 野食ハンターの茸本朗さんは、おいしい食材を求めて日々東奔西走。時にはウツボに噛まれ、時には毒きのこに中毒し、、、 それでも「おいしいものが食べたい!」という強い思...もっと読む

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コメント

izaken77 記事はもちろんおもしろいんですが、個人的には茸本さんがさりげなくライオンズTシャツを着ているのもツボでした 12ヶ月前 replyretweetfavorite

reesia_T これで小学生男子の母親達は息子が捕まえてきたザリガニを処理できるようになるな 12ヶ月前 replyretweetfavorite

torahugu118 ザリガニ釣り餌位にしか使わなかったけど食べてみたい。 ただ場所は選ぶ。 https://t.co/6ztHSjtSgc 12ヶ月前 replyretweetfavorite

granat_san おいしそうだけどやっぱり可食部少ないのか。 12ヶ月前 replyretweetfavorite