他人に自分のルール・決まりを公開し、外圧になってもらう!
前回、スケジュールを守るための方法について述べましたが、今回は、自分で決めたルールを守れなくなりそうになったときに使える手法についてお伝えします。
私は、大学時代に、選挙の投票行動(R=reward)について、ひとつの式を習いました。
R=P×B-C+D
Pというのは、自分の投票行動が選挙結果に影響を与える確率(possibility)についての、ある有権者による主観的予測とのことです。なんと、その確率は、客観的には限りなくゼロだといいます。
次に、Bというのは、ある有権者にとっての政党間(候補者間)の期待効用差(benefit)だそうです。
要するにP×Bで、投票行動によって得られる効用が出ます。Pが限りなくゼロに近い場合には、いくらBを掛け合わせたところで、その結果は限りなくゼロに近いのです。
Cは、投票参加にかかる労力や費用(cost)です。これは、単に「投票所が遠くて時間がかかる」ということだけではなくて、「各党の政策の違いを調べて期待効用差を判断するには労力がかかる」、「投票のために他にしたかったことをする時間を割く必要がある(機会費用)」というのも入るそうです。
そして、投票行動によって得られる効用から、それに要するコストを引くと、たいていはマイナスになります。
つまり、選挙に行くのは不合理な行為になってしまうのです。
そこで、登場するのが、Dです。
Dというのは、投票に参加すること自体が長期的にはデモクラシーの体制維持に寄与するという信念の強さ(democratic value)、あるいは投票しなければならないという義務感(duty)のことを指しています。より具体的には、投票をすることにより有権者としての義務を果たしたとの満足感、あるいは、政治体制への忠誠を果たした満足感などとのことです。
私の理解だと、このDというのは、自分は自分で決めたルールを守り続けて来たという信念にかかわる指標です。
選挙に毎回行く人は、どんなことがあっても躍起になって選挙に行きます。うちの母も、選挙の日が旅行に重なったりすると、期日前投票をしなくては、と大騒ぎします。挙げ句の果てに、「入れたい候補者がいないから白紙票を投じてきたの。これは、いまの政治に対する抗議の1票なのよ!」というのです。
私の母ではないですが、努力を続けるには、自分に課したルールを守り続けることが大切です。そして、守り続けることによって、そのルールは自分のなかで、どんどん固い決まりになります。結果的に破ることができなくなります。逆にいえば、一度破ってしまったルールは、なし崩しで守れなくなるのです。
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