桃山商事の恋バカ日誌

元カレが残した“遺産”に負けた男たちの悲劇

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、新感覚の恋バナ談義を繰り広げるこの連載。今回のテーマは「昔の恋人が残した恋愛遺産」です。元カレ、元カノの存在によって残された恋愛遺産。有形・無形とバラエティに富んだエピソードをご紹介します。

有形・無形の恋愛遺産を発掘する

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員


清田 今月のテーマは“恋愛遺産”です。ひとつの恋愛が終わった後に残った、有形・無形の遺産をめぐるエピソードを発掘していきます。遺産の発掘って、ちょっと考古学っぽくていいね(笑)。

ワッコ 有形遺産の話は「誕生日にもらったアクセサリーをどうするか」とかいろいろ出てきそうですけど、無形遺産の方はちょっとイメージしづらいですよね。

森田 無形遺産というのは、たとえば習慣や口癖みたいな、恋人と一緒にいる間に身体に染み付いたことなんかが、典型かな。

清田 俺は小学生のとき、好きだった佐藤さんの鉛筆の持ち方を真似していたんだけど、その持ち方が今でも続いていて。これもひとつの無形遺産だよね。

ワッコ 佐藤さん(笑)。

森田 鉛筆の持ち方って、地味だけどかなりレンジの長い影響だよね。清田少年はその持ち方で勉強して、受験して大学に入り、今も日常的に文字を書く仕事をしてるわけだから。

清田 確かに……! そう考えると佐藤さんの影響めっちゃデカいな。

森田 イメージしやすいのは有形遺産だと思うので、まずはそっちのエピソードから紹介していこうか。


ペンを包み込むように持つのが佐藤さんの特徴。清田もこれを真似して早30年…

清楚な彼女と不良系ヒップホップのギャップ

清田 じゃあ、最初に俺からひとつ紹介させてください。桃山商事のサブメンバーのひとり、熊谷操縦士が提供してくれたエピソードです。

ワッコ わたし熊谷さんに会ったことないんですけど、なんで「操縦士」なんですか?

森田 本職が飛行機のパイロットなんだよ。

ワッコ ガチな肩書きじゃないですか(笑)。

清田 これは熊谷操縦士が彼女とドライブしたときの話です。そのときは彼女の実家の車だったから、熊谷操縦士は助手席に座っていたんだって。それで「なんか音楽でもかけるか」と脇に置いてあったCD-Rを手に取ったら、そこには「ユミコ7(セブン)」とマジックで書かれていた。ちなみに「ユミコ」というのは彼女の名前で、俺も会ったことあるんだけど、元CAで清楚な雰囲気の女性でした。

ワッコ パイロットと清楚なCAのカップルですか~。

清田 ザ・王道って感じだよね。ユミコセブンの話に戻ると、熊谷操縦士は「ユミコが自分でセレクトしてつくったCDなんだろうな」と思ったらしい。なので特に疑問を持たずにプレイヤーに入れたら、流れてきたのは、めっちゃ低音のきいたゴリゴリの不良系ヒップホップだった。

ワッコ あー、それはつまり……。

清田 ユミコセブンは、元カレがユミコさんのためにつくったコンピレーションCDのvol.7だったというわけ(笑)。熊谷操縦士は真面目な男だから、スピーカーからゴリッゴリのヒップホップが流れてきたとき、結構びびったらしい。「元カレどんだけイカつい奴だったんだよ……」って。

森田 恋人の“恋愛遺産”に対しては嫉妬するのが一般的なイメージだから、びびるという反応は面白いよね。「ヒップホップを聴いてる人=不良」っていう図式に、やや時代を感じるけど。

清田 熊谷操縦士はわりと昭和っぽい価値観を持った九州男児なので(笑)。「清楚なCA」と「不良系ヒップホップ」に、あまりにもギャップがあったから、びっくりしたんだと思う。

ワッコ あと、ユミコセブンっていうタイトルは、ちょっとアイドルっぽいじゃないですか。カミセブン的な響きがあって。

森田 確かに、そこのギャップもあったのかもね(笑)。

清田 相手が持っていた“恋愛遺産”からかつての恋人を意識してしまうことって、よくあることだと思う。ユミコセブンみたいに、普段のイメージと遺産とのギャップが大きいと驚きも大きいというか。

ワッコ 付き合い始めとかに、相手の部屋で遺産っぽいものを見つけて勘ぐっちゃうようなことも、たくさんありそうですね。

森田 そういえば以前、我々のpodcast番組「二軍ラジオ」で、おしゃれを全く気にしない男性から聞いた”恋愛遺産”の話が出てきたよね。新しく付き合い出した彼女に「このバスタオル、前の彼女が置いてったやつでしょ?」とバレて、「なんでだろう?」と不思議がっていたっていう。

清田 あったねえ。それ、MARKS&WEBのバスタオルだったんだよね。

ワッコ バレますよね、それは。

有形遺産で発動する男のプライド

清田 “恋愛遺産”がトラブルを引き起こすケースもあるよね。

森田 次に紹介するのはそういうエピソードです。友達の女の子が彼氏と別れて、新しい人と付き合い出した直後のこと。仕事帰りにデートをして、その流れで初めて彼が家に来たんだって。成り行きだったから彼は泊まる準備もしてなくて、けどスーツで寝るわけにもいかないしどうしようってなった。

ワッコ あるあるな状況ですね。

森田 彼は、彼女に最近まで恋人がいたことや、形としては自分が彼女を「奪った」ということも把握していた。だからだと思うんだけど、「元カレのスウェットとかまだあるんでしょ? それ出してよ」とちょっと悪ノリしてきたんだって。

清田 うわっ、オラついてるなあ……。

森田 彼女は拒否したんだけど、「いいから」と押し切られて、仕方なくまだ置いてあったスウェットを出した。

ワッコ 「俺、そういうの全然気にしねえから」的な余裕を感じますよね。上から目線。

森田 ただひとつ問題があってね。その元カレっていうのが、実はものすごく背が高くて190センチもある人だったんだよ。対する新しい彼は170センチに届かないくらいで、割と小柄だった。だから、彼女がしぶしぶ出してきた上下のスウェットを彼が着たら、まるで子供が大人の服を着た時のような、ダッボダボな状態になってしまった。

清田 袖が余っちゃってる姿が目に浮かぶ……。ちょっとしたかわいさすらあるね。

森田 ただ、そこで彼は「どんな人と付き合ってたの?」と言って、ひどく落ち込んでしまったらしい。彼女は、悪いことしちゃったなあと反省してました。

ワッコ でも徹頭徹尾、要求してたのは彼なんですよね。彼女は拒否してたわけだし。まあ、確かにちょっとかわいそうではありますけど……。たぶん、スウェットを着て彼女の前に出るときにためらいがあったんじゃないですかね。でも自分から言った手前、出ないわけにはいかないし。

清田 フィッティングルームから出づらい的なね。そこで彼がヘコんだのは、おそらく男の嫉妬が発動しがちな「身長」という要素で圧倒的に負けたからだよね。

森田 元カレから彼女を奪ったっていう「男」としての自信が、身長というたったひとつの要素でぺしゃんこに潰されてしまった。“勝ち負け”にこだわる男の性質がよく出ているエピソードだよね。ちなみにこの二人はその後順調に付き合いを続けて、結婚しました。

ワッコ めでたしめでたしですね。

清田 遺産にまつわるいいエピソード、たくさん出てきたね。今回は相手が持っている遺産をめぐる話が中心だったけど、次回は遺産を残す側の気持ちも紹介していきます。


「ダボダボの服を着た彼氏の敗北感と切なさを描くのに苦労しました」(清田画伯 談)

(次回は「恋愛遺産」中編をお届けします)

構成:森田雄飛
文:清田隆之・森田雄飛・ワッコ


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森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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momoyama_radio cakesの恋バナ連載、8月は「恋愛遺産」がテーマです。今回は、を紹介しております。 https://t.co/arWIzMBK0N 5日前 replyretweetfavorite