急がば回れ!180人率いるベンチャー社長の部下を最速で一人前にする方法

新卒で入ったサイバーエージェントで、半年ものあいだ営業成績が圧倒的ビリだったところから一転……、新人賞や全社MVPを獲得し、起業したベンチャー企業を3年で180人規模にまで育てた、『起業3年目までの教科書』の著者である 大竹慎太郎さん(トライフォートCEO)が、 「急がば回れ式」で、部下を最も早く一人前にまで育てる方法を紹介します。

(筆者:株式会社トライフォート代表取締役CEO大竹慎太郎氏)

「人を育てる」とは「人が育つのを待つ」に似た行為

あなたにも、こんなことに身に覚えがないだろうか? あるいはこういう上司を見かけたことがないだろうか?

功を焦るばかりに、部下を怒鳴りつけて動かしてみたり、育てるのを諦め部下をコマのように扱ってみたり。部下をいつも減点評価でイライラとして眺めてみたり・・・。

その行いは、「部下を無理くり動かし」「部下を萎縮させること」にはなっていれど、決して「部下を育てること」にはなっていない。だからそういう人の動かし方をしていたら、「自発的に動いてくれる部下」になど、決して育ってはくれないことは知っておいたほうがいい。

「人を育てる」ということは「人が育つのを待つ」に似た行為である。

だから人を育てようとする場合、「急がばまわれ式」が正解になるのである。

マネジメントの2つのヒント

マネジメントの2つのヒントとは、次のものを指す。

1.会社あるいは上司の大切な仕事の一つは、各社員の強みや性格などをちゃんと把握して、あの手この手で部下が活躍できる場を探り用意し続けること

2.部下を育てていく局面での適切なマネジメントとは、適度に負荷のある課題を出し、小さな成功体験を積み上げさせていくことで、部下に段階的に成功体験を積ませ続けること

ここからは、そういったマネジメントにおける大切な概念を、現実のマネジメントでの行動に落とし込んでいく方法について考えていきたいと思う。

最初は、「新入社員があなたの部下になった時、どうやれば“自発的に動いてくれる”一人前にまで育てることができるか」という話からだ。

その話をするために、ここからは便宜上、「新人営業マンを一人前にまで育てるにはどうしらいいか?」という話で考えていくが、この「人の育て方」はどの職種にも当てはまるものである。そこであなたには、この項目の話を「自分の職場にはどう応用したらいいかな?」という視点で読み進めていただければと思う。

部下を一人前にまで育て上げる方法

新人の部下を一人前にまで育てる場合、私は、次のフローチャートに沿って育てていけばうまくいくと考えている。

(1) 実際にやってみせて、成果が上がる瞬間を部下の隣で実際に見せる

自分の営業に部下を同行させ(自分が仕事をしている姿を隣で部下に見せ)、成果を上げている実際の姿を見せる。

(2)(1)を振り返りながら、(上司であるあなたの行いの)「何がよかったか?」、あるいは失敗した点は「何に失敗していたか?」の問いを発し、「成果が上がる方法」を“部下自身の頭で”反復してもらう

人間の脳の構造は「口頭で一度教えればすぐに覚えるような都合のいいもの」ではない。ただし、「自分で答えにまでたどり着いたことは、深く覚えていられる」ようにはなっている。

だから「上司が答えを教える」のではなく、“発問”によって部下自身に答えにたどり着いてもらうことが、最も早く仕事のコツを覚えてもらえる方法である。

つまり(1)が終わったら、帰り道のカフェや、会社に帰ってからか、「何がよかったと思う?」「どうすればいいと思う?」などの質問をし、部下が自分で答えにたどり着くまで、“思考のアシストを行いながら”聞いていく。そうすることで部下自身の頭で「先輩の仕事の中でも、何が仕事の成果を上げるコツなのか」にたどり着いてもらおう。

ここでのミソは、「すでに自分が仕事をする姿を見せていること」であり、ちゃんとヒントを出した上で聞いていることである。すなわちこれは、部下が何かの失敗をした時に「なんで失敗したの?」と詰め寄るようなパワハラ的上司の行いとは“まったく違うもの”であるということが重要だ。

「詰める」ということは如実に部下を萎縮させることにつながる。萎縮している部下は自発的になど決して動いてくれなくなる。だから、部下があまりうまく答えられなくても「詰める」ようなことは決してせず、あの手この手で思考のアシストを入れていこう。

部下が上手く答えられるようにちゃんと思考のアシストを入れ、そのアシストの腕を磨き続けることは、間違いなく上司の側であるあなたの仕事である。

そして部下が何らかの回答を口にした時には、「おー、いいね! それは・・・」と、必要以上に喜び気味に反応することで、部下が話しやすくなるよう常に努めていこう。

(3)(2)までを何度も繰り返し、部下がその範囲の仕事に関しては適切な回答を容易に出せるようになったら、“裏で”実際にやってもらいながら練習してもらう。  
 その際、部下の練習が終わる度に毎度、(2)と同じ、「いい点・悪い点」に関する問いを発することでフィードバックを行う

会社で、自分がクライアント役を演じ、自分に対して部下に営業をやってもらうような営業のロールプレイングをやり、練習を繰り返してもらう(実際の仕事ではなく、“裏で”練習をやらせてみる)。

その際、練習が終わるたびに毎度、(2)と同じ「いい点・悪い点」に関する問いを発することで、フィードバックを行う。

(4)(3)に慣れてきたら、まずは1つの仕事を例えば、1~10までのセクションに切り分けるようなイメージで、上司であるあなたが、細かく切り分けることから始める。
 その後、まずはそうやって切り分けた最初のセクション1の部分ばかりを、実際に部下に繰り返しやらせてみて、その1の部分に関してはできるようになってもらう
 → その後、次のセクション2の部分ばかりを、実際に、部下に繰り返しやらせてみて、その2の部分もできるようになってもらう
 → その後、次のセクション3の部分ばかりを実際に部下に繰り返しやらせてみて、その3の部分もできるようになってもらう
 ・・・というサイクルを、セクション10の部分までのすべてができるようになるまで回していく。
 そうすることで、最終的にセクション10まで、すなわちその仕事全体を部下が一人でできるようにする。

※ここでもセクション1の部分、セクション2の部分、セクション3の部分といった感じで、各セクションの実践が終わるたびに、(2)と同じ、「いい点・悪い点」に関する問いを発することでフィードバックを行う

部下に実際の商談や仕事をやらせてみる。最初は自分と部下が話す比率を半々ぐらいにして、徐々に部下のパートを増やしていき、最後にすべての商談を一人で行えるようにする(仕事を細かく切りわけ、一つ一つ実際にやらせてみることで、一つ一つの仕事を段階的に覚えていってもらう)。

ここでも1つの階段を登るごとに、(2)と同じいい点・悪い点に関する問いを発することで フィードバックを行う。

この段階で、例えばセクション1の部分の仕事をあなたが何もいわずに部下ができるようになったら? それ以降は、セクション1の仕事に関してはアシストの手を緩め、部下に任せきるようにし、繰り返しやらせるようにしていこう(同時に次のセクシン2の部分の実践での練習に入っていく)。

(5)部下が頑張った結果、成果を上げたら、何らかの形で賞賛する

これは、5番目にやることというよりも、(1)~(4)のすべて過程で、部下が頑張り、うまくいった時や成果を上げるごとに行うことである。そういった場合、「よくやったな」と部下を賞賛しょう。

この際、日々の口頭での褒め方として1つ工夫をするとしたら、部下が何かができた時、あるいは何かを達成した時に、ただ褒めるのではなく「おー、よくできたね。それ何でそんなにうまくできたの?」「(失敗した)前回と(成功した)今回では何が違ったの?」と、成功の秘訣を尋ね、“部下自身に“分析させ、答えまで出してもらうようにするといい。

そうすることが、部下自身がその成功の秘訣(仕事のコツ)を深く理解し、習得していくアシストになる。

(6)育てる過程で部下が失敗しても怒らずに、次に向けての改善策を尋ねる

育てる過程で部下が結果を出せなかったとしても、怒らないことも大切なことである。結果は運やタイミングの要素も大きく関わってくることである。だとしたら部下が失敗したからといって怒ってみても、部下を萎縮させてしまうだけで意味がない。

だから部下が失敗した場合は、

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起業3年目までの教科書 はじめてのキャッシュエンジン経営

大竹慎太郎

サイバーエージェント、ZOZOTOWN、ユニクロ、ライブドア、電通が実は、ある「共通の起業法」を用いていた!? サイバーエージェントで全社MVPをとり、起業した会社を半年で70人に、3年で180人規模にまで育てた、『起業3年目の教科書...もっと読む

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コメント

nemotch 褒めないと人は伸びないというのは実感するなあ。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

masumasu_o 『起業3年目までの教科書』の著者 大竹慎太郎さんの記事が、ケイクスさんにアップされました✨ 【「人を育てる」ということは「人が育つのを待つ」に似た行為】など、ほんとに僕が起業前に知って... #NewsPicks https://t.co/daFzilpoNN 3ヶ月前 replyretweetfavorite

masumasu_o 「人を育てる」とは「人が育つのを待つ」に似た行為 3ヶ月前 replyretweetfavorite