視点を変える
物事を考える場合、視点を変えると良い。自分の視点だけではなく、相手の視点、それを見ている第三者の視点などを考えると、いくつものアイディアが生まれるものだ。
例えば大喜利で『こんな女性アイドルは嫌だ』というお題があったとする。回答を考える時、誰もがまずは嫌な女性アイドルを考える。「恋愛ばかりする」「ファンを大切にしない」「歌も踊りもできない」「やる気がない」などのフレーズが浮かび上がる。それらをそのまま回答に使う場合もあるだろうし、さらに連想して、例えば「やる気がない」から「普段着でステージに上がる」という回答を生み出すこともできる。ここで終わらせてもまったく問題ないのだが、他人とは違った自分なりの回答が欲しいならば視点を変えていけば良い。
変化させていく過程は次の通りだ。
アイドル → 女性 → 人間 → 動物 → 生物 → 地球
イメージとしては自分が対象から徐々に離れて、遠くなっていく感覚である。
まずはアイドルから視点をずらして女性として考える。つまり「嫌な女性」を考えるのだ。すると「電車で化粧を直す」「大声で笑う」などの回答が出てくるので、それをアイドルに当てはめれば「電車で化粧を直すアイドル」「大声で笑うアイドル」といった「嫌なアイドル」の回答が生まれる。視点を変える前より回答の数は増え、先ほどとはタイプが違う回答が誕生することになる。
次にもう一歩下がったところから見てみよう。視点を女性から人間へと変える。「嫌な人」を考えてみるのだ。すると「列に割り込む」「すべてお金で解決できると思っている」などの回答が出てくるが、それらもアイドルに当てはめることができる。
ここからさらに距離をとる。人間も動物であると考えるのだ。「嫌な動物」はどんなものがあるだろうか。「農作物を荒らす」「トイレを覚えない」「何もない部屋の隅をじっと見る時がある」などが思い浮かぶだろう。これをアイドルに当てはめてみる。
『こんな女性アイドルは嫌だ』
「農作物を荒らす」
『こんな女性アイドルは嫌だ』
「トイレを覚えない」
このように新たなタイプの回答が完成する。
もっと離れ、動物も生物のひとつと考える。「嫌な生物」。すると「感染症を媒介する」「毒を持っている」「寄生する」「繁殖力が強く生態系を破壊する」などのアイドルが出来上がる。視点を変化させる前とは比べものにならない、オリジナリティのある、ある意味異質な回答が生まれるのだ。
そして最終的に地球全体を俯瞰するイメージを持つのである。いわば神のような視点だ。
『こんな女性アイドルは嫌だ』
「神の失敗作である」
『こんな女性アイドルは嫌だ』
「禁断の果実を食べた」
ただし、いきなりこの視点で回答するとインパクトは大きいが、その分失うものも多そうなのでお勧めはできない。徐々にシフトアップさせて使うのが良いだろう。
また、この流れとは別に、もうひとつ視点を変えていく流れがある。
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